ベストアルバムのお話。
先日、女房のラジカセの横に積んであるCDやMDを眺めていて、面白い事に気が付いた。それは、
「彼女のCDとMDのコレクションは、半分以上がベストアルバムだ。」
という事だ。今まで、女房のCDを拝借して聴く事は時々あったけれども、そんな事には全然気が付かなかった。
僕は、ベストアルバムは、アーティストの代表曲ばかりを聴く事が出来て、とてもお得だとは思うのだが、逆に隠れた名曲を聞き逃してしまう不安から、なかなか手が伸びない感じがある。
まあ、女房の場合、僕みたいにアルバムを聴いて、ああじゃない、こうじゃないと個人的なウンチクをたれたりする訳ではなく、単純に
「やっぱりユーミンっていいわよね~。懐かしい曲がいっぱいあるわ~!」
とか、
「最近はポルノ・グラフィティだわ~。あれ~!?この曲CMで流れていたわよねぇ~。」
なんて言いながらツマミ食い的に曲を楽しんでいるので、自然と手元にベストアルバムが増えていったのだろうと思う。
で、話は自分の事になるのだが、女房の数々のベストアルバムを眺めて、
「俺もベストアルバムは何枚か持っているはずだが・・・・・。あんまり思い浮かばないぞ・・・。」
そう思いながら、自分のCDの棚を探してみると・・・・・・結構あるのである。中でも今回はロック系のアルバムを色々引っぱり出してみたのだが・・・・。

TOTOというグループは僕が大学に入学した1980年代の初頭に一世を風靡していて、ロック系の音楽サークルの連中は、ほぼ皆が当時発売されたばかりのアルバム「聖なる剣」を聴いていたし、キャンパスで知り合うロック系のギターを弾いている奴等の中には、スティーブ・ルカサーの音を真似ていた奴が、何人かいたような気がする。
僕もご多分に洩れず、TOTOのアルバムを聴き、当時大ヒットした「ロザーナ」や「ラヴ・ハズ・ザ・パワー」、「アフリカ」等々を知った。このベストアルバムには、そのあたりの曲が収録されていて、実に思い出深いのだ。
当時の僕は、TOTOのメンバーが本来はスタジオ・ミュージシャンで、この頃から出てきた言葉で言うなら“産業ロック”の匂いがプンプンする所に、いい意味での新鮮さを感じていた。従来からのロック・スピリットを前面に押し出すバンドと比較して、TOTOからは何となく垢ぬけて、スマートな印象を受けたのだ。
思えば、1980年代初頭は「産業ロック」と言われるバンドが次々と出てきた時代で、僕の大学生活のスタートとダブって実に懐かしい思いがする。

このアルバムは今から10年以上昔にCDショップで見かけて購入したのだが、高校を卒業して以来ほとんどサンタナを聴いていなかった僕は、アルバムジャケットのサンタナの風貌を眺めて、歳月の流れに愕然とした事を覚えている。
「げ~っ。サンタナもしばらく見ないうちに、歳とったな~。いやらしげなオヤジになっとる!」
てなもんである。
そうは言っても、収録曲はなかなか良い。バラード曲を集めるという所が洒落ていると思うのだ。当然、僕の大好きな「ムーン・フラワー」も「哀愁のヨーロッパ」も聴く事が出来る。
僕はこのベストアルバムを購入した頃から、再びサンタナに注目し始めて、新しいアルバムにも耳を傾けるようになっていった。そういう意味では、結構重要なアルバムで、ベストアルバムの中では、割と頻繁に聴く方だと思っている。

「へ~っ。こんなアルバムあったんや・・。」
そんな事を呟きながら手にしたのがレインボーの「The Very Best Of Rainbow」だ。今更ながら自分に、
「お前は、そんなに、リッチー・ブラックモアが好きか・・・・・・。アホじゃないのか?」
と問いかけたくなってしまった。
音源がMDなので、ずっと昔にTUTAYAででもレンタルしてダビングしたものだろう。全然記憶に無いのだ。
ちょっくら聴いてみると、なるほど、「キル・ザ・キング」や「スター・ゲイザー」、「オール・ナイト・ロング」等の代表曲のオン・パレードで、
「レインボーか・・・。大好きだけど今更なぁ~。別に発見もないし・・・。」
なんて感じてしまう。
ただ、面白いのは、レインボーというグループはギターのリッチー・ブラックモア以外は、激しくメンバーチェンジが繰り返されたグループで、その辺の変遷をちょっと知っている人間にとっては、ギター以外のパートの個性を意識して聴いてゆくと、バンドの歴史の要約集を見ているような気がしてくる。
「こういうひねった楽しみ方もあった訳だ・・・。」
今回そんな風に思った事だ。

「レインボーの次はディープ・パープルかい・・・。また、リッチー・ブラックモアかい・・・。アホ!ええかげんにせい!」
とお怒りの声が聞こえてきそうなのだが、このアルバムの購入に関しては、確信犯だ。
「ディープ・パープルの美味しい所だけをツマミ食いしちゃろ!」
という気持ちで購入したのだ。
とにかく、曲の布陣が良いではないか。これ1枚で「ハッシュ」も「スピード・キング」も「ファイアー・ボール」も「ハイウェイ・スター」も「ウーマン・フロム・トーキョー」も「ブラック・ナイト」も「バーン」も聴ける。怒涛の15曲。
「どうだ!参ったか~。」
と言いたくなるアルバムなのだ。
そんな訳で、しょっちゅうツマミ食いがしたくなって聴く。ディープ・パープルのアルバムの中では、ここ2~3年の間で1番聴いている。とにかく、曲の布陣とお手軽な所が実に気に入っている訳だ。

随分昔に、このCDを店で見かけた時、中身の曲をロクにチェックしないで、すぐに購入した記憶がある。中身の曲云々よりも、ジャケットが猛烈に気に入ったからだ。
僕はエリック・クラプトンのアルバムジャケットの中ではこのアルバムと「スロー・ハンド」が1、2を争うと勝手に決めているのだが、どちらもポイントはブラッキーと呼ばれるギターである。正確に言うと、フェンダーというメーカーのストラトキャスターというギターなのだが、とにかく、このブラックのギターが僕の憧れの的で、部屋の何処かにCDを飾って鑑賞用にしたいと思うくらいなのだ。そんな訳で、いつもジャケットをじっくり眺めては、
「う~む・・・。一度でいいからこのギターを弾いてみたいもんじゃ~。カッコエエのぅ~。」
と呟く事になるのだ。
そんな調子だから、中身はほとんど聴いた事がない。でも、曲の布陣は名曲が並んでいて十分楽しめると思うのだけれど・・・・。
まだ他にも何枚かあるが、こうやって、ロック系のベストアルバムを引っぱり出してみると、僕の昔からのロックの好みを改めて認識させられているようで、少しこそばゆいような気がしてきた。
人間正直で、
“聴く聴かないは別にしても、ベストアルバムまで持っているアーティストには特別な思い入れがある。”
と言う事が良く分かる。
こんな事を改めて認識するには、ベストアルバムというのは良い切り口だったと思うのだ。
[Music TOTO] [Music Santana] [Music Rainbow] [Music Deep Purple] [Music Eric Clapton]
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お久しぶりです。
ちょうどギターの力技に飽きてた
70年代頃の楽曲が中心なせいか
ゆったりとした曲が多いベスト盤ですよね。
LET IT GROWが好きです。
>ようへい様
僕も、このアルバム、中身もイイと思ってます。
70年代のクラプトンはなんとなく和みます。