かぐや姫の「22才の別れ」でギターを弾く新しい楽しみを知った話
中学1年も終りに近づく頃、毎日のクラブでの練習の成果もあって、僕のギターの腕前は、めきめきと上達していた。そんな楽しいクラブ生活の中で、時々、土曜日の午後なんかに、高2のN本部長あたりが
「今日は練習は3時で終わって、後は、みんなあで大統領でもやるかや~?」
なんて事を言い始める。
大統領というのは、簡単に言うと、反射神経のゲームのようなもので、沢山の人数でやると、酒も飲んでないのに(←あたりまえか・・・)なかなか盛り上がって、面白かった事を思い出す。そして、お決まりの”罰ゲーム”があって、負けたやつは、必ず、”一曲歌え!”という事になるのだ。
カラオケも、携帯も、無い時代の事で、一曲歌うというのは、アカペラがあたりまえで、こんな時、誰もが歌っていたのは、歌謡曲ではなく、フォーク系の曲だったように思う。(←当時ニューミュージックという呼び方はまだ無かったんじゃないかな?)
そんな時、高校生の先輩たちは、即席でかぐや姫などのフォークグループを作って、器用にギターで歌の伴奏をし、おまけにコーラスでハモったりしていた。
それを見た僕は、
「おお~。こりゃ罰ゲームにしては、えらいかっこえいにやぁ~。俺もフォークが弾けるようにならないかん!。弾きながら、歌えないかん。クラシックギターばっかりでは、女にもてんぞ!」
と、すぐに鼻息を荒くした。
その後の、鼻息の荒い土佐の少年の行動は、素早く、その日に部室にあったコードブックを、下宿に借りて帰り、翌週には秀才のS藤先輩に、二枚組のLP「かぐや姫フォーエバー」を借りて、テープにダビングしていた。(数ヶ月後には、小遣いで、このアルバムを買ってしまう。)
当時の僕は、すでにかなり複雑なアルペジオも弾けるようになっていたので、コードさえ覚えれば、意外と簡単にかぐや姫の色々な曲が弾けたように、記憶している。
中でも入れ込んだのは、「22才の別れ」で、前奏から始まって、途中の12フレットでのハーモニクス、最後のスキャットまで完璧にコピーした記憶がある。
僕はこの経験で、ギターという楽器を、クラシックの世界からぐっと身近に引き寄せると同時に、ギターの新たな楽しみ方を発見した。
しかし、その頃、中2になるかならないかの僕は、悲しいかな、この曲の、切ない歌詞の内容が完全に理解できていなくて友達と、
「おい、なんでローソクに、17本目から一緒に火を点けるがなや?」
「あほう。これは17才から付き合いだしたという事よや。」
「17ゆうたら高2じゃか・・・・。おい、うちの学校にも高2で男と付き合いゆう女はおるろうかにやぁ?。」
「そりゃまあ高2ゆうたらだいぶおるろうにやぁ~」
なんて、馬鹿みたいな事を真剣な顔して話していた。
さて・・今改めて聴いてみると・・・。昔みたいにギターテクニックだけに傾倒して聞くことは出来ずに、歌詞の方が心に響く。一緒に聴いた「なごり雪」も「神田川」も「赤ちょうちん」もその他色々な曲も、頭に情景が浮かんできて、ついつい一緒に歌ってしまった。(←高1の息子に“お父さんキモい”と言われたぞ。)
団塊の世代でもないのに
「あぁ~俺って日本人だな~。年とったよな~。う~ん。わかる、わかる~」
なんて思ってしまい、血中のおやじ濃度が、急速に上昇して行くのがわかった。
聴き終わった後で、曲の中身とのギャップが埋まってないことに気が付かないで、ただ必死でギターをかき鳴らして歌う、学ランに帽子をかぶったあの頃の自分を思い浮かべて、
「俺ってかわいかったよな~」
と思ってしまった。
かぐや姫 : 22才の別れ
[Music かぐや姫]
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こんにちは
フォークの名曲ですね。
持ってる弾き語りの本に
載ってたんで、コード譜なら知ってます。
70年代のフォークは何ともいえない
雰囲気があっていいですよね。