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土佐のオヤジの音楽昔話 ~ あの頃の曲を聴いてみた ~ アンドレス・セゴビア
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壊れたギターとクラシックギターの真髄。

2008.07.12 Sat
 先週の日曜日、女房と2人で納戸の整理をした。ここ数年間、何でもかんでも納戸の中へ放りこんでいたので、いい加減狭い納戸が物で溢れ、『奥の方まで入って行けないぞ!』という状態になっていたのだ。
 粗大ゴミの日も近かったので、
「一丁、この辺で徹底的に片付けるか!」
 と言う事になり、僕と女房は朝から納戸の荷物を引っぱり出し、整理と掃除を始めた。
 整理をするという事は、簡単に言えば『いらないものを捨てる。』と言う事で、長年たまった包装紙や袋や雑誌、絶対着ない洋服やバザーに出し損ねた引出物などをとにかく思いっ切り捨てる事にして、夕方までかかって我が家の納戸は実に使い易い物になった。
 その晩、夕飯も終り、僕は水割り片手に例の如く自分の机でダラダラとCDを聴いていたのだが、ふと思い立って、納戸から古いクラシックギターを持ってきた。納戸の奥深くにあってここ半年近く触っていなかったのだが、昼間納戸の整理をした時に、
「最近クラシックギターを弾いてないな~。後でちょっと弾いてみるか?フフフッ!」
 なんて考えていたのだ。
無残なギター 早速ケースを開けてみると、
「げ!・・・なんとまあ!壊れている!」
 ボディーからブリッジが剝がれて、見るも無残な姿になっていたのだ。
「こりゃ~、まいったなあ~。いや~、どうしよう・・・。」
 とブツブツ言いながら、僕は無残なクラシックギターを暫くの間呆然と眺めていたのだが、その時頭にポッと一人のギタリストの事が浮かんだ。それはクラシックギターの世界ではあまりにも有名な人物で、ギターを芸術の域まで高めた偉人、神様とか巨匠なんて言われる事もある「アンドレス・セゴビア」だ。
 僕がクラシックギターを始めた中学生の頃、当時所属していたギター部の部室にセゴビアのLPが何枚かあった記憶がある。今思えば、
「あの当時もっと真面目にクラシックギターのアルバムを聴いておくべきだった・・・・。」
 と残念でならない。今となっては、ジャケットのイメージも思い出せないし、実際に聴いた記憶も残っていないのだ。そして現在、僕が持っているセゴビアのアルバムは数年前にダビングしてMDに残っている「セゴビアの芸術」だけなのだ。
セゴビアの芸術 「セゴビアの芸術」を久しぶりに聴いてみると、古い録音なので少々音が悪いが、セゴビアの素晴らしさがビンビンと伝わってくる。
 まず一番に耳に入って来るのが『音の丸さ』だ。
 僕は元来クラシックギターの音は少しエコーのかかったような甘く丸い音が好きで、最近の演奏家が多用する、固くフラメンコギターを連想させるような音質は好みでない。しかし、甘くて丸い音は力強さと広がりを表現するのが難しく、そこら辺のギタリストが多用すると、小さくまとまった単にいやらしい演奏になってしまう事が多くて、実に難しいのだ。ところが、セゴビアはこの辺がめちゃくちゃ上手い。もう聴いていて惚れ惚れするようなトーンの音を「ポーン」と、いとも簡単に出す。この美しくて強い音は、誰も絶対真似出来ないといつも思ってしまう。
 次に印象深いのが、『演奏の広がり』だ。前出の“小さくまとまった演奏”とは正反対の、非常にスケールの大きい演奏が展開する。
「ホンマに1人で、1本のギターで演奏しているのか・・・?」
 なんて思い始めるぐらい、音の広がりを感じてしまうのだ。
 昔あるギタリストの演奏を目の前で聴いた時に、前からも後ろからも音が聞こえるような感じがしたが、セゴビアの演奏も絶対そうに違いないと思っている。いやそれ以上に、横からも、上からも下からも体中が音に包まれたような錯覚を覚えるぐらい、ビンビンにギターが鳴っているに違いないと思ってしまうのだ。
 最後にほとほと感心するのが『曲の歌い方の素晴らしさ』だ。
「楽器は頭で歌いながら演奏しろ!」
 と学生の頃ギター部の顧問の先生に何度も言われたが、セゴビアの演奏を聴くと、心を込めて歌っている事がすぐにわかる。で、この歌心が実に素晴らしい。超一流のセンスを感じるのだ。
 セゴビアよりもテクニックがあるギタリストは山ほどいるが、自分の歌心をこれほどギターで表現できるギタリストは絶対にいない。聴いていて涙が出て、鳥肌が立ってくるのだ。
 僕はこの晩改めて、
「セゴビアの演奏を聴く事がクラシックギターを聴く楽しみの真髄だ。」
 感じてしまい、今後もう少し彼のアルバムを手に入れ、聴いてみたいと真剣に思った事だった。
 さて、このアルバムがきっかけで、僕もセゴビアの演奏のようにはいかないけれど、
「クラシックギターを弾きたい!」
 という気持ちが最近高まっている。が、情けない事に、僕のクラシックギターは壊れたままで、納戸の奥にしまわれている。
 このギターは僕が持っている楽器の中でも、中学生の時からずっと弾き続けた一番古い物なので、思い入れが大きく残念で悲しい気持ちでいっぱいなのだ。今現在、修理するか廃棄するかで迷いに迷っている。
「ホンマに悲しいよ~~~!どうしよう・・。」

Andres Segovia - Asturias





[Music Andres Segovia]



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Category: 憧れの巨匠話 | Comment(2) | Trackback(0) | top↑ |