エアロスミスの「キングス&クイーンズ」で卒業コンサートの話。
今考えると、年明けの、受験勉強もラストスパートであろう頃に、帯屋町の商店街を回って広告の協賛を取ったり、同級生にチケットを売ったりしていたのだから、吞気を通り越してアホと言われてもしょうがないと思うのだが、我々は大マジメで、他の高校のバンドも企画へ誘い入れて、3月末のコンサートの準備を進めていた。
2月の初めには卒業式があり、その後、僕は大学受験の為に東京に約10日間滞在した。バンドの仲間達も全員が首都圏の大学を受験しており、
「合格したら、すぐにバンドやろうぜ~。」
と、皆のんきな事を言っていた。
しかし、僕の受験結果は惨敗に終わり、その後1年間の浪人生活が決定した。まあ、ロクに勉強していないので、当然と言えば当然なのだが、それよりも、自分の実力を知らないで偏差値の高い大学ばかりを狙ったのが大きな敗因であった。
バンド仲間でも明暗様々であったが、
「とにかく、最後だから、このコンサートは、思い切ってやろうぜ!」
という事になり、3月の初旬から毎日のように練習をした事を覚えている。
曲目は、エアロスミス、レインボー、サンタナ、エリック・クラプトン等のノリのいいロックナンバーばかりを選び、
「とにかく、楽しくやろうぜ。」
と全員が考えていたように思う。
僕自身、浪人が決まり、
「今後1年は、ホント、真面目に勉強しないと、大学でバンドをやるどころじゃないぞ。コンサートが終わったら、しばらく音楽とは縁を切るぐらいやないと、ヤバイぞ~。」
という思いもあって、
「とにかく、今は、完全燃焼じゃ~。」
と、半ばヤケクソ気味で、毎日練習していた。
コンサート当日は、同級生がいっぱい来てくれて、その後の打ち上げも含めて早速の同窓会のようになって、面白かった事を覚えている。
さて、そんなヤケクソ気味のコンサートの最後に演奏した曲が、エアロスミスの「キングス&クイーンズ」という曲だ。
この曲は、エアロスミスの中では、有名な曲だが、一般的には、あまりヒットした曲では無いと思う。それでも、僕達が、「キングス&クイーンズ」を選んだ理由は、重厚なリフと、ボーカルのバックでの美しいアルペジオをツインギターで、渋く演奏したかったからで、僕とH口君のギターの2人が気に入って、決めた。
僕はコンサート本番で、この曲の中盤にあるアドリブを弾き終った時に、
「これで、本当に終わってしもうた。ギターを弾き始めて、高知での6年間が終わってしもうた。自分は最後の曲を演奏しているんや。あっけない事やなぁ~。」
そんな事を、しみじみと感じていた。
まあ、実際はアンコールがあって、もう1曲演奏したのだが、今でも僕の頭の中では、
「高校時代の最後に演奏したのは、エアロスミスの『キングス&クイーンズ』だ!」
という図式が出来上がっている。
そんな事を思い出しながら、「キングス&クイーンズ」が聴けるアルバム「ドロー・ザ・ライン」を改めて聴いてみた。
このアルバムは非常によく出来たアルバムで、1曲目のアルバムタイトル曲「ドロー・ザ・ライン」から、ノリノリで押しまくる。エアロスミスの世界が全開なのだ。そして、「キングス&クイーンズ」だが、まず感じるのが、エアロスミスの曲にしては曲の展開の変化がドラマチックで面白いという事。特に美しいピアノの伴奏でベースが奏でるフレーズからギターのアドリブ、その後のボーカルのシャウトへの後半部分にかけての盛り上がりはゾクゾクするものがある。
改めて、
「実に名曲や・・・・・。」
と感じてしまった事だ。
僕はこれまでエアロスミスの様々な曲を聴いてきたが、今回、
「やっぱり、この『キングス&クイーンズ』は絶対にベスト3には入れたい曲じゃ!」
と密かに考えてしまった。
その上、この曲を久しぶりに聴いて、楽しかったコンサートの思い出と、その後の浪人生活への不安、高校を卒業した寂しさ等々、当時の非常に複雑な気持ちが、怒涛の様に思い出されて来たのだ。
「う~む。実に懐かしく、それでいて、切なく妙な気分・・・。なんとも、表現のしようがないなぁ・・・・。」
いずれにしろ、僕の心の中に刻まれている1曲である事は間違い無いのだ。
Aerosmith - Kings And Queens
[Music Aerosmith]
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Category: 高校3年の頃 | Comment(0) | Trackback(0) | top↑ |