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土佐のオヤジの音楽昔話 ~ あの頃の曲を聴いてみた ~ グラント・グリーン
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ジャズ風呂

2007.12.21 Fri
 今から数年前の春休み、女房と子供達が実家に里帰りして、一週間ほど1人になった事があった。ちょうど休日を挟んでいた事もあり、昼間からビールを飲みながら、音楽を聴いたり、昼寝をしたりと、オヤジにもいい休養になった事を覚えている。
 その時に、風呂の脱衣所にCDラジカセを持ち込み、音楽を聴きながらのんびりと風呂に入った事を思い出した。
ソウル・ステーション なぜ、こんな事を突然思い出したかというと、先日CDの棚をゴソゴソとひっかき回していて、あるアルバムが目に止まったからだ。ハンク・モブレー「ソウル・ステーション」だ。
 記憶に間違いがなければ、僕がまだ30代の頃、ジャズ雑誌で,
「このアルバムは、風呂に合う。」 
 なんていう記事を見た気がしたのだ。その時からずっと頭に引っかかっていて、
「是非一度、風呂に浸かりながら「ソウル・ステーション」を聴いてみたい!」
 と考えていた。
 で、女房と子供がいない事をこれ幸いと、早速実行してみたのだ。
 前日会社帰りに購入した「ソウル・ステーション」をCDラジカセにセットして、ボリュームを上げて、流し始める。シンプルで分かりやすいメロディーに耳を傾けながら、のんびりと浴槽に浸かると、
「なるほど・・・。“風呂に合う”の意味がなんとなく分かるぞ~。」
 そんな気になった事だった。
 この経験以来、僕はハンク・モブレーが好きになり、他のアルバムも聴くようになったのだが、このサックス奏者、どこがいいのかを説明するのにちょっと困る。というのも、コルトレーンソニー・ロリンズみたいに圧倒的な存在感があるわけでもなく、彼のテナーは、なんとなくこもった音で、のんびり、ボケボケ聴こえてくる気がするのだ。これは、決して悪い意味では無くて、好きになってしまうと、そこがハンク・モブレーの魅力であり、のんびりと浸かる風呂にはもってこいだ!と思ってしまうのだ。
 ま、とにかく、風呂で「ソウル・ステーション」を聴いた経験から、その後しばらく、ジャズのアルバムを聴くたびに、風呂に浸かって聴いてみたくてしょうがなかった記憶がある。
フィーリン・ザ・スピリット 中でも、今度風呂でCDラジカセを鳴らす機会があれば、まず一番に、グラント・グリーン「フィーリン・ザ・スピリット」を聴こうと思っている。このアルバムのシンプルで覚え易いメロディーを聴いた瞬間に、
「お~っ。風呂の中でエコー効かせて、聴くと気持ちがエエぞ~。」
 と確信したのだ。
 それに、アルバムのジャケットがいいではないか。ギターを持って恍惚の表情を浮かべているグラント・グリーンは、実に渋い。ジャズのアルバムジャケットは、こうでないと、
「よっしゃ!聴いてみよう!」
 という気にはならない。
 そんなグラント・グリーンのギターは、テクニック云々よりも、アルバムの題名と同じく強烈なスピリットを感じてしまう。太い音で、無骨でドス黒いブルージーなフレーズを弾きまくるそのアドリブからは、魂の叫びを感じると言っても、オーバーじゃない気がする。湯船に浸かって、くつろいだ気持ちで彼の心の叫びを聴くのも悪くないと思うのだ。
 そんな訳で、僕は風呂には案外ジャズがよく合っていると感じている。それも、ワンホーンとか、リード楽器が1つだけのシンプルな編成のなるべくブルージーなものがいいと思う。
 あの頃から比べると、子供も随分大きくなったので、オヤジが風呂でラジカセを鳴らしていても、
「あ~、アホなオヤジが、また馬鹿な事をやっておる。」
 ぐらいで、騒ぎにならないだろうし、女房には最初っから呆れられているので、久しぶりにやってみようと密かに思っている。
「正月はジャズ風呂だな。ふふふっ。」

 
[Music Hank Mobley] [Music Grant Green]



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ジャズ喫茶っぽいアルバム。

2008.05.31 Sat
 先日、4月から中学に通い始めた次男の父兄会に女房が出かけて行った。担任の先生から、
「今の所、5月病になるような生徒は見受けられないけれども、小学校とは全く異なる環境なので、家庭でも気を付けてあげて下さい。」
 などという話があったようだ。
 僕も5月病という程ではないにしろ、今から20年以上も昔、大学を卒業してサラリーマン1年生になった頃は、戸惑う事だらけで、5月の終盤のこの時期は結構ナーバスになっていた思い出がある。
 毎朝6時30分に起床して、7時過ぎには会社の寮を出発する。満員電車とバスを乗り継いで、最初に配属された営業所に8時過ぎに到着する。それから、夜の9時~10時まで、息つく暇もないほどの仕事に追いまくられて、夜中にヘロヘロになって寮に帰ってくる。そんな毎日が続き、一日が終わると寮の部屋で、
「俺は、これからずっとこんな生活を続けてゆくのだろうか・・・・?冗談じゃないぞ・・・。」
 なんて、妙に真剣に考え込んでいたものだ。
 今考えると、仕事に慣れていないせいで、1日の中で上手に息抜きをしたり、気分転換をする事ができなかったのだが、その時はとにかく必死で、学生時代にあれほど聴いていた音楽も、会社に入社してから新しい部署へ転勤になる1年間はほとんど聴いた記憶が無い。それほど生活にゆとりを持つ事が出来ずに、精神的に追い詰められていた事は間違いないのだ。
 この当時、日曜日には学生時代に住んでいた下北沢へよく行った。休日は遅くまで寝ているので、昼近くなって下北沢駅へ着く。学生の頃よく通った定食屋で朝昼兼用の食事をして、そのまま駅の近くのサウナへ行き、ビールを飲んで2時間ほど昼寝をする。その後、必ず立ち寄ったのがマサコというジャズ喫茶だった。
 『マサコ』には学生の頃から時々行っては、アイス・コーヒーとマンガでジャズに耳を傾け暇潰しをしていたが、社会人になると学生時代とは全く異なり、ここでもビールを飲んで、ソファー席でジャズを聴きながら居眠りをするのである。普段音楽を聴いていない上に、JBLの良い音が体中にビンビン響いて、とてつもなく気持ちが良かった思い出がある。
 さて、ジャズ喫茶『マサコ』での思い出話はまた改めて記事にするとして、今日僕が書きたいのは、『ジャズ喫茶的なアルバム』の話だ。もう少し詳しく言うと、
『アルバムを聴き始めると、何故か当時のジャズ喫茶の光景が浮かんできて、ジャズ喫茶でくつろいでいるような気分に浸れる・・・・。』
 そんなアルバムが、僕の中には何枚か存在すると言う事なのだ。
 5月病の話からジャズ喫茶の話まで、昔の思い出が頭の中を巡り巡ったので、毎度の事とは言いながら、アホみたいに長い前置きになってしまったが、勘弁願いたい。これからやっと本題に入るのだ。
ミルト・ジャクソン・クァルテット まず、僕が感じるジャズ喫茶的なアルバムで最初に挙げたいのは、ミルト・ジャクソン「ミルト・ジャクソン・クァルテット」だ。今から15年ほど前に、中野の中古CDショップで購入した。
 ミルト・ジャクソンという人は、ご存知の通りMJQヴァイブラフォン奏者だ。あちこちのアルバムで素晴らしい演奏を聴く事が出来るので、どのアルバムが一番だとはなかなか言いにくいミュージシャンだと思うのだが、僕個人としては、「ミルト・ジャクソン・クァルテット」が最も良いと感じている。とは言っても全て聴き尽した訳ではないので、
「そんな事はない!他にもあるぞ!」
 とか、
「いい加減な事を言うな!ロクに聴いても無いくせに!」
 などとお叱りの言葉が飛んで来る事は分かっている。でも、わがままオヤジとしては、好きなものはしょうがないのである。
 1曲目の「ワンダー・ホワイ」が始まった瞬間に、黒いブルージーな雰囲気が広がり、何とも言えないモダンジャズの世界が展開する。鼻歌ででも歌えそうなフレーズが続き、それでいて実にカッコ良く、気持ちが良い。
 僕が考えるに、こういう音を聴きながら日常とは異なる雰囲気に身を置いてのんびりする事が、ジャズ喫茶の1つの醍醐味だと思うのだ。
「くつろげなくては、ジャズ喫茶じゃない!」
 そんな風に思っている僕は、「ミルト・ジャクソン・クァルテット」は実にジャズ喫茶的なアルバムだと感じているのだ。
 さて話は変わるが、半年ほど前に僕は高知市内のあるジャズ喫茶で暫く時間を潰した事があった。久しぶりの事だったので、コーヒーを頼んだ後で、周りをキョロキョロと見回してしまったが、その時に、
「おっ、ジャズ喫茶なるもの、何時でも何処でもこれは同じなんだよな~。」
 と思い出した事があった。それは、流しているアルバムのジャケットを客に分かるように見せて置いておく事だ。これで、当時の僕みたいなほとんどジャズを知らない若者でも、流れているアルバムのジャケットが確認出来て、
「なるほどね~。この曲があのアルバムか~。」
 などと、意味の分からない納得をしていた事を思い出したのだ。
 で、当時は音のイメージよりも、ジャケットのイメージの方が頭にこびりついて離れなくなるものが色々とあった気がする。特にミュージシャンの顔がモロに写っているジャケットは、そのミュージシャンの息吹がそのまま感じられそうで、妙に圧倒された事を覚えている。 
フィーリン・ザ・スピリット 静かなるケニー 中でも、グラント・グリーン「フィーリン・ザ・スピリット」ケニー・ドーハム「静かなるケニー」の2枚のジャケットが僕は気に入っている。
 グラント・グリーン「フィーリン・ザ・スピリット」はだいぶ前の記事で紹介して(←記事はこちらです。)、その時にも書いたけれども、この表情が好きでたまらない。こういうのが、ドンと置かれていると、
「おお・・・・しっぶいのぉ~。」
 と思ってしまう。増してや内容も超ブルージーで僕好み。ドス黒いフレーズの連続にビリビリ痺れるのだ。
 一方、ケニー・ドーハム「静かなるケニー」のジャケットは、なんとなく寂しげで、訴えかけるような目をした表情が良い。あまり目立つ事なく控え目にプープー鳴らすトランペットと、このジャケットの表情から、ケニー・ドーハムの人柄がなんとなく分かるような気がしてくるのだ。
 この2枚以外にも、特にブルーノート辺りには、数々の『ジャズの世界を垣間見るような、濃くて深いジャケット』があるけれども、僕はいつもそこから当時の薄暗いジャズ喫茶を連想してしまうのだ。
 さて、ここまで、
「イイ気持ちで、くつろげるアルバムこそ、ジャズ喫茶を連想する。」
 だの、
「顔がアップの濃いジャケットはジャズ喫茶のイメージだ。」
 などと超個人的な感覚の話をしてきたが、最後は本来のジャズの楽しみ方、湧き出るアドリブ演奏からジャズ喫茶を想像させるアルバムを挙げておきたいと思う。
リアル・リー・コニッツ そうは言っても、これこそが最も個人的な好みと感覚の話になってしまい、異論は多々あるであろうが、オヤジのわがままを聞いてほしい。リー・コニッツ「リアル・リー・コニッツ」だ。
 リー・コニッツと言う人は、ミルト・ジャクソングラント・グリーン等とは正反対の非常にクールな演奏をするサックス奏者だが、クールな演奏の中に、インプロビゼイションに全神経を傾けた熱い思いをビンビンと感じる事が出来るのだ。
 とは言っても、リー・コニッツには「モーション」という名盤があるので、
「こちらの方が断然ジャズ喫茶っぽいのではないか?」
 という意見が聞こえてきそうだ。
 確かに「モーション」からは白熱したアドリブ演奏を聴く事が出来るが、凄すぎて逆に疲れてしまう気がするのだ。僕の中では「リアル・リー・コニッツ」の方が、なんとなく日常的なジャズ喫茶のイメージがあるのだ。
 ふらっとジャズ喫茶に入った時に、こういうアルバムが淡々と流れていて、コニッツの吹くアドリブが自然と頭の中に広がって行く。興奮もせず、そうかと言って退屈する訳でもなく、
「ああ・・・。ジャズってイイよな~。」
 と感じる事が出来るのだ。
 「リアル・リー・コニッツ」は、ジャズ喫茶という独特の世界へ入り込む為の導入剤のようなアルバムだと僕は昔から感じているのだ。
 さて、もうあと4~5枚は別の超個人的な感覚と理由からジャズ喫茶を思わせるアルバムがあるのだが、ますます意味の分からない文章が続く事になりそうなので、ここまでにしておく。
 僕が学生の頃のジャズ喫茶には独特の雰囲気があった。あまり掃除が行き届いているとは言い難い店内に大音響で流れるフォービートのリズムやコーヒーの香り、薄暗い中でゆれる煙草の煙、1人気難しそうな顔をして読書する男、目を瞑ってひたすら音に耳を傾ける奴、等々思い出し始めるとキリが無い。そんな浮世離れしたジャズ喫茶という異空間にポツンと座ってぼんやりしている僕の姿が、アルバムを挙げてゆく毎に頭に浮かんで来るのだ。
 実際ここに挙げたアルバムは、僕がジャズ喫茶に行かなくなって数年後に聴いたものばかりなので、本当にジャズ喫茶で耳にしたアルバムとは全く異なる事は分かっていても、これらのアルバムで当時を思い出す事が出来るのが実に興味深いと思うのだ。
 当時の感覚はやっぱり音楽の中にあると改めて思ってしまう。

   
[Music Milt Jackson] [Music Grant Green] [Music Kenny Dorham] [Music Lee Konitz]



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グラント・グリーンの「グランツ・ファースト・スタンド」を聴いてみた。

2010.02.08 Mon
グランツ・ファースト・スタンド 突然妙な話をするが、去年からうちの会社に出入りしているある営業マンの顔を見る度に僕は、
「こいつ、誰かに似てるよなぁ~。」
 と思っていた。そして先週の事だが、それが誰なのかやっと分かった。グラント・グリーンなのだ。CDの棚を漁っていて、グラント・グリーン「グランツ・ファースト・スタンド」を見つけて、
「・・・分かった・・・こいつや・・・。この顔や・・・。」
 と一人つぶやいた事だった。
 ジャケットを見て頂ければ分かると思うのだが、グラント・グリーンは何となく愛嬌のある顔をしている。僕の会社に出入りしている営業マンも、
「顔が濃いけど、愛嬌があって憎めない。」
 そんな印象があるのだ。
 さて、このアルバム。ジャケット眺めて頷くだけでなく、キチンと聴いてみたのだが、元来グラント・グリーンは大好きなギタリストなので、十分に楽しませてもらった。
 彼のギターはジャズというよりも、ブルースの影響が非常に強く、ロック系のギタリストのようにチョーキングこそしないが、その真っ黒な音の世界に身を置くと、実に気持ちが良い。
 グラント・グリーンには「フィーリン・ザ・スピリット」という名盤があるけれども、「グランツ・ファースト・スタンド」も決して悪くなく、彼独特のブルージーな世界が楽しめると思っている。
 話は変わるけど、ブルーノートのジャケットって、ホント、カッコイイと思いますね。

 
[Music Grant Green]




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