ジャズ風呂
その時に、風呂の脱衣所にCDラジカセを持ち込み、音楽を聴きながらのんびりと風呂に入った事を思い出した。

記憶に間違いがなければ、僕がまだ30代の頃、ジャズ雑誌で,
「このアルバムは、風呂に合う。」
なんていう記事を見た気がしたのだ。その時からずっと頭に引っかかっていて、
「是非一度、風呂に浸かりながら「ソウル・ステーション」を聴いてみたい!」
と考えていた。
で、女房と子供がいない事をこれ幸いと、早速実行してみたのだ。
前日会社帰りに購入した「ソウル・ステーション」をCDラジカセにセットして、ボリュームを上げて、流し始める。シンプルで分かりやすいメロディーに耳を傾けながら、のんびりと浴槽に浸かると、
「なるほど・・・。“風呂に合う”の意味がなんとなく分かるぞ~。」
そんな気になった事だった。
この経験以来、僕はハンク・モブレーが好きになり、他のアルバムも聴くようになったのだが、このサックス奏者、どこがいいのかを説明するのにちょっと困る。というのも、コルトレーンやソニー・ロリンズみたいに圧倒的な存在感があるわけでもなく、彼のテナーは、なんとなくこもった音で、のんびり、ボケボケ聴こえてくる気がするのだ。これは、決して悪い意味では無くて、好きになってしまうと、そこがハンク・モブレーの魅力であり、のんびりと浸かる風呂にはもってこいだ!と思ってしまうのだ。
ま、とにかく、風呂で「ソウル・ステーション」を聴いた経験から、その後しばらく、ジャズのアルバムを聴くたびに、風呂に浸かって聴いてみたくてしょうがなかった記憶がある。

「お~っ。風呂の中でエコー効かせて、聴くと気持ちがエエぞ~。」
と確信したのだ。
それに、アルバムのジャケットがいいではないか。ギターを持って恍惚の表情を浮かべているグラント・グリーンは、実に渋い。ジャズのアルバムジャケットは、こうでないと、
「よっしゃ!聴いてみよう!」
という気にはならない。
そんなグラント・グリーンのギターは、テクニック云々よりも、アルバムの題名と同じく強烈なスピリットを感じてしまう。太い音で、無骨でドス黒いブルージーなフレーズを弾きまくるそのアドリブからは、魂の叫びを感じると言っても、オーバーじゃない気がする。湯船に浸かって、くつろいだ気持ちで彼の心の叫びを聴くのも悪くないと思うのだ。
そんな訳で、僕は風呂には案外ジャズがよく合っていると感じている。それも、ワンホーンとか、リード楽器が1つだけのシンプルな編成のなるべくブルージーなものがいいと思う。
あの頃から比べると、子供も随分大きくなったので、オヤジが風呂でラジカセを鳴らしていても、
「あ~、アホなオヤジが、また馬鹿な事をやっておる。」
ぐらいで、騒ぎにならないだろうし、女房には最初っから呆れられているので、久しぶりにやってみようと密かに思っている。
「正月はジャズ風呂だな。ふふふっ。」
[Music Hank Mobley] [Music Grant Green]
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