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土佐のオヤジの音楽昔話 ~ あの頃の曲を聴いてみた ~ マンハッタン・トランスファー
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マンハッタン・トランスファーの「バードランド」で思い出すジャズ喫茶「マサコ」のお話。

2012.02.24 Fri
エクステンションズ


 久しぶりに昔話を書いてみたい。本当に久しぶりなので、前回いつ頃までの話を書いたのかすっかり忘れてしまい、思い出すのに苦労したのだが、なんとか続ける事が出来そうなのでお付き合い願いたいのだ。
 僕は前回の昔話で書いたように(←コチラです。)1984年、大学2回生の1月にライブをやって以来バンド活動を中止していて、そのまま大学は春休みに突入し、時は3月になっていた。一緒にバンド活動をしていた4回生は卒業するし、頼りの3回生は就職活動が始まるし、いずれにしろ今のバンドを続けてゆく事が不可能に思え、何もやる気が起こらなかったのだ。その上、以前から書いているように、大学外の人間ばかりとバンドを組んで、金も払わずに部室で練習する僕に対するサークル内の視線はかなり厳しいモノがあり、(←その辺の事情はコチラに書いてます。)気軽に部室へ顔を出すのも気が引けて、結局は当時住んでいた下北沢周辺でウダウダと時間を潰す春休みを送っていたのだ。
 この頃の僕の生活は、大体昼の12時前後に目覚めて、部屋でボンヤリと「笑っていいとも」なんかを眺めながらノロノロと服を着替え顔を洗う。そして、
「お!昼だ!イカン、イカン・・・。」
 なんて呟きながら下北沢の駅前まで出かけて行き、餃子の王将とか、立ち食い蕎麦とか、安い定食屋なんかで昼食を食べるのだ。その後はレンタルレコード店をひやかしたり、駅前の本屋で立ち読みして時間を潰し、夕方4時には銭湯に行き近所の爺さん連中と一緒に熱い風呂に浸かる。夜になって友人の誘いがあれば再び駅近辺へ出かけて明け方まで安酒を飲んで騒ぎ、誘いが無ければ、同じく明け方までずっと音楽を聴きながら読書かベースの練習をする毎日だった。
 そんな何の目的も無い暇潰しの極致のような日々の中で、夕方銭湯が開くまでの時間潰しに僕が一番利用したのがジャズ喫茶「マサコ」だった。現在は閉店してしまったようだが、当時下北沢駅の南口のちょっと奥まった路地にこのジャズ喫茶はあって、オーナーのマサコさんが亡くなる前後の頃だったと思うが、僕はマサコさんが入口のドアの前に椅子を出して座り、肩に子猿を乗せていたのを何度か見た事を覚えている。
 僕はこのジャズ喫茶「マサコ」に大学の1回生の頃から何度か足を運んでいたが、この春休みは毎日のように通った記憶がある。当時の僕はモダン・ジャズをまだほとんど聴いた事が無く、ジョン・コルトレーンスタン・ゲッツの違いも分からないくらいのアホだったが、JBLのスピーカーから大きな音で流れ出すアドリブのメロディーは悪い気がしなくて、いっぱしのジャズファンを気取りながらハイライトをくゆらせ、アイスコーヒーを飲んでいた事を思い出す。
 「マサコ」の一番良かった点は、長い歴史があるジャズ喫茶にも拘わらず、一般のジャズ喫茶とは異なり、モダン・ジャズをほとんど知らない人間がヒョイと入ってみても、女性同士のグループが中にいても違和感が無かった点かも知れない。店内は薄暗く雑然としていて決して綺麗とは言えなかったが、ジャズ評論家を自称するようなうるさ方の常連客へも、僕のようなジャズ素人の一般客へも、店員の接し方は全く同じで、基本姿勢が、
「とにかく放っておくので好きなだけジャズを聴いて下さいな。」
 そんな雰囲気があったのだ。
 「マサコ」では終日モダン・ジャズのレコードが流れていたが、時々壁面に設置された大型テレビでジャズのライブ映像も流していた。そっちは古いモダン・ジャズだけではなく流行りのウェザー・リポートハービー・ハンコックなども流していて、この辺のアーティストは当時僕が普通に聴いていた事もあって彼等の映像は非常に興味深く、僕の「マサコ」へ行く楽しみは、どちらかと言えばこのライブ映像にあったように思う。
 僕は毎日のように「マサコ」へ通い、アイスコーヒー1杯で色々なアーティストのライブ映像を見たのだが、中でもマンハッタン・トランスファーには度肝を抜かれた事を覚えている。当時の僕はマンハッタン・トランスファーの名前くらいは知っていたが、曲を聴いた事も映像を見た事もなく、ボーカルの4人組という事もあって、
「まぁボーカル・グループなんて聴いても大した事ないわなぁ。やっぱ楽器が無いとつまらんぞ。」
 などと、聴いた事もないくせに実に勝手な判断を下していた。ところが「マサコ」で彼等4人のライブパフォーマンスの映像を目の当たりにして、
「げ~!この4人は天才じゃ!声そのものが楽器じゃ!ひゃ~~~。」
 と一人興奮し、早速アパートへの帰り道、彼等のアルバム「エクステンションズ」をレンタルレコードで手に入れた事を覚えている。
 「エクステンションズ」の中でまず僕が気に入ったのはやっぱり「バードランド」で、ウェザー・リポートの名曲をこんな風に料理するセンスと圧倒的な歌唱力に恐れ入って、
「こいつらを馬鹿にしちゃぁ~イケマセン!これだけの力量があるグループに何故今まで気が付かなかったのだろう・・・反省、反省。」
 などと一人呟きながら本家のウェザー・リポート以上に彼等の「バードランド」を何回も聴いた事を覚えている。
 そして、僕はこの「エクステンションズ」を皮切りに、春休みの間次々とマンハッタン・トランスファーのアルバムを聴いてゆき、暇つぶしの退屈な春休みとは言いながらも、
「いいアーティストを見つけたぞ!ケケケッ!」
 的な喜びはキチンとあって、それはそれでとても嬉しかったのだ。
 さて、そんな事を思い出しながら久しぶりに聴いてみました。マンハッタン・トランスファー「バードランド」。これまで折に触れて彼等のアルバムを聴いているので最初に耳にした時ほどの衝撃は無いけれど、やっぱりこのグループは凄い。単なるボーカル・グループではなくジャズのエッセンスを十分に感じる上にそれが楽しく豪華にショーアップされて、非常に歯切れが良いのだ。
「こういうグループは誰が聴いても絶対悪いとは言わないだろうなぁ・・・。」
 なんて事を考えつつ、ふと思ったのだが、当時の「マサコ」の店の雰囲気にマンハッタン・トランスファーの音楽が合っていたかというと、その辺ははなはだ疑問なのだ。いや、疑問じゃなく全然合ってなかったのだ。と言うのも、普通のジャズ喫茶よりも違和感が無いとは言いながらも「マサコ」はバリバリのジャズ喫茶である。4ビートで真っ黒なジャズが流れる中、眉間に皺を寄せた男達のくゆらす煙草が似合う空間なのだ。こんな所で超ポップなマンハッタン・トランスファーが流れると、「マサコ」の空気は180度変わってしまう。当時ビデオ映像を見ていた僕もこの辺の空気の変化は感じていて、
「ちょっと場違いだよなぁ・・・。」
 そう思っていた事を覚えている。それでも僕がこの曲を聴いて真っ先に頭に浮んでくるのがジャズ喫茶「マサコ」の風景であるのは、それだけ彼等を初めて見た時の衝撃が強烈で、ショックだったと思うと同時に、当時は何も感じなかったけれども、あの「マサコ」というジャズ喫茶の持っていた歴史と不思議なオーラが記憶の何処かにしっかりと刻み込まれているからだと思うのだ。
 僕はその後大学を卒業してからも1年くらいは時々「マサコ」へ行っていた。(←その辺の話はコチラです。)それがいつしか下北沢から足が遠のき、20代の後半からモダン・ジャズを聴き始めたにも拘わらず、「マサコ」を訪れる事は無かった。そして30歳を過ぎて高知で生活するようになると、時々「マサコ」の事を思い出して、
「今度東京へ出かけた時には必ず寄ってみよう!」
 そんな事を考えつつも、なかなか訪れる機会はなく、ボヤボヤしているうちに「マサコ」は静かに閉店してしまった。いやはや、残念でならないのだ。

Manhattan Transfer Birdland


ジャズ喫茶 マサコ


コレはオマケ。本家、ウェザー・リポート!!
Weather Report - Birdland


 
[Music The Manhattan Transfer]

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マンハッタン・トランスファーの「カヴァーズ」を聴いてみた。

2012.06.16 Sat
カヴァーズ「久しぶりに昔話を書いてみようか?」
 なんて事を考えている。
オヤジはこのブログで時々若かった頃の曲にまつわる昔話を書いているが、最近は筆が止まっている。と言うのも、現在大学2回生の終わりまで書き進んで、
「さて、次は3回生の頃の思い出だが・・・。」
 などと思いを巡らすのだが、どうも記憶があやふやで、色々と思い出してもそれが3回生の頃なのか4回生の頃なのかがはっきりしないのだ。そんな中、
「前回、何の話を書いたかなぁ・・?」
 なんてことを思い、過去記事を検索してみたらマンハッタン・トランスファーの話をしている。(←こちらです。)
「う~む・・・マントラねぇ・・・。そういえばあの当時よく聴いてたわなぁ・・。」
 などと呟きながら、再び頭を巡らすと、当時とは全く関係のないマンハッタン・トランスファーのアルバムが頭に浮かんできた。「カヴァーズ」である。
頭に浮かんだものはしょうがないので話を進めるが、実はこのアルバム、オヤジは非常に“微妙”だと思っている。何が“微妙”かと言うと、「カヴァーズ」の中身はマンハッタン・トランスファーが豪華ゲストを迎えて共演するカバー・アルバムで、全体的にはイケイケムードがあふれる楽しい楽曲が続く。豪華なゲスト達(←フィル・コリンズBB・キングスモーキー・ロビンソンジェイムズ・テイラー等々)の個性も出ていて、まさに文句の言いようが無いような気がするが、冷静に聴いてみると、当たり前の事だがマンハッタン・トランスファーの個性が他のアーティストの個性に埋没している感が否めないのだ。
「共演とはそんなもんよ!」
 と言われればそれまでだが、彼らのアルバムとして「カヴァーズ」を聴こうとすると良いのか悪いのか、実に“微妙”なのだ。
 様々な意見があるかと思うが、マンハッタン・トランスファーのファンの一人としては、「カヴァーズ」は何となく余計なアルバムのような気がしてならない。

 
[Music The Manhattan Transfer]

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マンハッタン・トランスファーの「ザ・シンフォニー・セッションズ」を聴いてみた。

2015.01.28 Wed
シンフォニー・セッションズ 昨年の事だけど、TUTAYAへCDをレンタルに行った時、
「たまにはクラシックのアルバムでも借りてみるかなぁ・・・。」
 なんて事を考えた。オヤジはこう見えてもクラシックが結構好きである。ただ、あまり知識が無いので、クラシック系のアルバムを物色する時には、ライナー・ノーツを読む事が多い。
 この時も、とある室内管弦楽のCDを手に取り、ライナー・ノーツに目を通し始めたのだが、何となくピンと来ない。理由は文章中にやたらと“ゴージャス”って言葉が出てくるからだ。たとえば、『演奏者もハーモニーもゴージャスで・・・』みたいな。
「お前、くだらない事を気にし過ぎだよ!」
 って言われそうだが、室内管弦楽のアルバムに“ゴージャス”って言葉は似合わない。いや、そもそも“ゴージャス”なんて言葉自体、最近使うのか?そんな事が頭をよぎるのだ。
 さて、なぜこんな事を思い出したかと言えば、昨日Amazonでマンハッタン・トランスファーのCDを検索していて、オヤジの大好きなアルバム「ザ・シンフォニー・セッションズ」が、
『ゴージャスの一言です!』
 と評価されていたからだ。
「そうだ!あのアルバムこそ“ゴージャス”だわ!」
 なんて言いながら、久しぶりに引っ張り出して聴いてみたのだが、なるほど、その通りだ。
意味が分からないと思うので説明するが、そもそもこの「ザ・シンフォニー・セッションズ」は、マンハッタン・トランスファーがオーケストラと共演し、往年の名曲の数々を歌い上げる1枚である。選曲が良いので、若い頃彼等の曲を聴いていたオヤジとすれば、懐かしくもあり、一方では新発見もありと、まぁ十分に楽しむ事が出来る。その上、贅沢なオーケストラと共演する事で、従来のマンハッタン・トランスファーのジャジーなテイストに、より落ち着いた大人の雰囲気と華やかさが加味されて、実に聴き応えがある。
「これこそゴージャスだわなぁ。」
 そう言えるアルバムなのだ。
『ゴージャスってのはその辺にころがっているモノじゃなくて、特別で贅沢でキラキラしてムードがあって夢のようじゃないと。』
 オヤジはそう思うのだ。

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The Manhattan Transfer - Birdland


The Manhattan Transfer: Route 66


 
[Music The Manhattan Transfer]

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