2008年5月某日の聴き流し日記。

このアルバムはライブ録音の曲が何曲か収録されているので、聴いていると何処かのライブハウスにいるような錯覚を覚える。昼間のビールで少し酔った体には実にいい気持ちで、2曲目の「チェンジ・ザ・ワールド」あたりで、すでに眠くなってくる。そのままウトウトしていると、椅子から落ちそうになって、ハッと目が覚めた。マッサージチェアは自動プログロムを終了して動いていない。体中の力が抜けて、タコになったようだ。曲は「オーヴァー・ザ・レインボー」になっている。
寝室にやってきた女房が、
「鼾がものすごくうるさかったわよ!」
と言っている。
中途半端な昼寝から目覚めた僕は、だるい体を引きずりながら、新聞片手にゴソゴソと書斎へ向かう。エリック・クラプトンの「BALLADS」のMDを棚に片付けていると、隣に並んだエリック・ドルフィーのアルバム「ラスト・デイト」のMDが目に止まる。

そんな事を考えながら、流し始める。
机の上に足を投げ出して、高知新聞を広げて、話題のチベット問題の記事を読んでいると、1曲目の「エピストロフィー」から、演奏がやたらと耳に付く。
「ちょっと鬱陶しかったな~。」
と思いながら、チベットを中断して、曲の方に神経を集中すると、耳に付く原因が分かった。バスクラリネットだ。エリック・ドルフィーが吹くバスクラリネットの音が、奇妙に響いて、耳に付いて離れないのだ。
「そうか・・・。エリック・ドルフィーと言えば、バスクラリネットだったな。それにしてもまあ、こんなマイナーな楽器をよく演奏するもんじゃ・・・。」
そう思いながら、暫く耳を傾ける。相変わらず、「エピストロフィー」の奇妙なバスクラリネットが響き渡っている。あまりの異様さに、
「ちょっと別のアルバムに変えようかな?」
なんて、思い始めた頃に、2曲目でエリック・ドルフィーはフルートに持ち変える。
「はあ~。これなら気味悪くないわ・・・。いい感じやな~。さてと・・・新聞、新聞。」

「ラスト・デイト」が終った事に気が付いて、
「さて・・・、次は何を聴こうかな?」
と考えた時に、フッと、
「そうや!バスクラリネットがマイナー楽器だったので、もう一丁マイナー楽器を聴こう!バリトン・サックスや!」
と思い立って、CDの棚をゴソゴソ探って、ジェリー・マリガンの「マリガン・ミーツ・モンク」を聴き始める。
「しっかし、いつ聴いてもジェリー・マリガンのバリトン・サックスって、滑らかで、バリトン独特の音色が気持ちいいな~。」
と、1曲目のラウンド・ミッドナイトに聴き入ってしまう。その上、このアルバム、マリガンのバリトンの音もさる事ながら、タイトルでも分かる通り、ピアノがセロニアス・モンクなので、2人が実に不思議なコンビネーションを見せて、面白いのだ。
こういうのを聴き始めると、新聞どころではなくなる。卓上のパソコンを立ち上げて、ウィキペディアでジェリー・マリガンを検索してみると、10年以上前に亡くなっている。
「ああ、そうなのか・・・。なるほどね。」
と意味の分からない納得をして、そこから様々なジャズミュージシャン関連へネット・サーフィンして、時間が過ぎて行く。
一旦キッチンへ行き、コーヒーを入れて書斎へ戻り、再びあちこちへネット・サーフィンして遊ぶ。そのうち、「マリガン・ミーツ・モンク」が終わる。

「ラウンド・ミッドナイトのソロ演奏はどんな物だったのかね・・・・?」
と、気になって仕方なかったのだ。
そういえば、僕は初めてセロニアス・モンクを聴いた時、良いのか悪いのかさっぱり分らなかった記憶がある。これだけ個性的な演奏をするピアニストはそれまでに見た事も聴いた事も無かったので、自分のピアニストの範疇を超えていて、言いようがなかったのだ。今現在でも、
「好きか嫌いか?」
と尋ねられたら、
「好きだ」
とは答えるだろうが、理由を上手く説明する自信がない。
さて、この頃になると、ネット・サーフィンもジャズには全然関係ない項目に飛んでいて、少しずつ退屈してくる上にジャズを聴くのにも飽きてくる。まあ、聴いているアーティストがモンクだから、疲れたと言うのが正直な感想かもしれない。
「あ~あ~、今日は1番に熱い風呂に入って、ビール飲もう!」
なんて事を考え始めた頃に「セロニアス・ヒムセルフ」が終る。
僕はパソコンの電源を落として、部屋の電気を消して、子供達が騒がしいリビングへ出て行く。
僕の休日の午後は、こういうパターンが1番多い。
[Music Eric Clapton] [Music Eric Dolphy] [Music Gerry Mulligan] [Music Thelonious Monk]
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