久保田早紀の「異邦人」を思い出した。

「異邦人」は、「飛んでイスタンブール」が流行った数年後にリリースされて大ヒットした曲で、こちらも「飛んで・・」同様アジアの異国情緒が漂う印象深い曲だ。しかし、「飛んで・・」の方をシルクロードの終着点だとすれば「異邦人」の方はシルクロードの真ん中の曲で、同じアジアでもこの2曲は全く異なるイメージを持っている。
比較して申し訳ないが、『曲の出来』という点においては「異邦人」の方にオヤジは軍配を上げる。勝手な意見だが「飛んでイスタンブール」からは歌謡曲の臭いがするが、「異邦人」からは歌謡曲の臭いはしない。歌謡曲が悪いという事ではなく、「異邦人」からは、ポンと頭に浮かんだ情景に、そのままメロディーが乗っかったような、商売っ気の無い自然さを感じるのだ。ガッチリ受けを狙って作られたイメージがある「飛んで・・・」よりも自然な楽曲の美しさをオヤジは支持したい。
話がどんどん変わって申し訳ないが、オヤジが初めて「異邦人」を聴いたのは高校生の時だった。発端は当時好きだった女の子に久保田早紀のアルバム「夢がたり」を貸してもらった事にある。彼女の、
「この中の『異邦人』って曲が私好きなの・・。」
そんな言葉から、
「おし!彼女の好きな曲ならば何が何でも聴かねばなるまい!」
とまぁ、鼻息荒くして耳を傾けた事を思い出す。おかげでオヤジにしては少々場違いの感がある曲にも拘わらず、「異邦人」は今でも歌う事が出来るのだ。
それにしても、最近こういうエキゾチックな歌が出てこない。って言うか、あまりにも世の中に情報があふれ過ぎて、曲を聴きながら頭の中で世界の街角へ思いを巡らせるなんて事が不可能な時代になってしまったようだ。寂しい限りである。
異邦人 久保田早紀
[M;久保田早紀]



