青春18きっぷのポスターに思う昭和

先日、散歩がてら高知県立文学館へ行ってきた。この文学館は、高知城のお堀の内側に建っているうえに、50名以上の高知の文学者たちを、時代やテーマごとに紹介した展示がメインで、目立たないけど土佐の観光名所の一つと言ってよい。
「観光客でもないのに何故そんな所へ?」
って思うだろうが、今回オヤジが見に行ったのはこれらの常設展示ではなく、期間限定の企画展示。文学には全く関係ないが、『青春18きっぷ・ポスター紀行』なる無料展示が見たかったのだ。(←無料だから見たいのではないよ)
この企画は、青春18きっぷの懐かしいポスター73枚を撮影場所の路線地図と共に展示したもので、特別な鉄道ファンでないオヤジのような人間が見ても心を奪われる。自然の中を行く列車と風景が一体となった1枚や、哀愁を感じる駅の改札をアップにした1枚、若い旅行者の表情をとらえた1枚と、どのポスターも胸に迫る。そして、全てのポスターからは強烈な旅情が感じられるのだ。
「おぉ!俺も駅弁とワンカップを手に各駅停車の旅に出よう!」
などと馬鹿オヤジはすぐに考えるが、一方で真面目にこれらのポスターを見て思うのは、
「日本には、自分が若い頃に抱いたJRの旅そのままの風景がまだたくさん残っているんだ・・・。」
って事。副題に『JR「青春18きっぷ」ポスター26年の軌跡』とあったので、すべて平成に入ってからの作品だが、オヤジはこの企画展を眺める間、ずっと昭和を感じていた。

「ベタ過ぎるやろ!」
って言われそうだが、そうなんだからしょうがない。まだJRが国鉄だった頃、旅のキャンペーンソングで一世を風靡したこの名曲以外、オヤジの頭に浮かぶ曲なんてない。
そんなわけで、家に帰って早速「いい日旅立ち」を流してみたけど、何と言うか、涙が出そうになる。
「俺って年取ったよなぁ・・・」
とか、
「まんまと谷村新司の術中にハマッてるなぁ・・・」
なんて思うが、良いモノは良い。とにかく、あの山口百恵が歌うのだから、どうしようもない。彼女の少々上目遣いで訴えるような目と少し厚い唇、アイドルにしては妙に落ち着いた声で、
『ああ~~♪日本のどこかに~~♫私を待って人がいる・・・・。』
なんて歌われたら胸が熱くならない方がおかしい。まぁ、久しぶりに聴いたので感動が大きいのかも知れないが、こういう名曲はオヤジの中に列車の風景と共にずっと持っておきたいと思った次第だ。
さて、「いい日旅立ち」で感動に浸ったオヤジの頭に次に浮かんだ曲がある。同じく列車とか旅とか昭和からの連想だけど、こっちの“昭和”はオヤジが生きた昭和ではなく、オヤジが生まれる前の“昭和”。今から60年以上も昔の曲で岡本敦郎の「高原列車は行く」だ。

って言われそうだが、当然この曲がヒットした頃(←1954年)オヤジはまだ生まれていない。でも、大学生の頃にテレビの懐メロ番組で初めて聴いて、
「なんて能天気な歌なんだ!」
と衝撃を受けた記憶がある。以来「高原列車は行く」は藤山一郎の「東京ラプソディー」や「丘を越えて」に並ぶ昭和能天気歌謡の代表作だとオヤジは考えている(←決して悪い意味ではないのだよ)。
とにかく歌に合わせて拍手をすればとても楽しく、只々幸せで憂いも陰りもない。そして、この曲のメロディーとリズムからは、戦後の厳しい時代を抜け出しつつあるパワーと明るさが感じられ、聴く者を元気にさせる。一方で歌詞は美しく、高原の白樺林や、いで湯の里の風景が頭に浮かぶ。久しぶりにYoutubeで聴いたが、今回のポスター展を見なかったら絶対に思い出さない1曲で、今度カラオケで絶対歌ってやろうとオヤジは密かに考えている。(←周りが引くだろうなぁ・・・)
さて、久しぶりにしょうもない長い文章をダラダラと書いてしまったが、ブログ復帰後のリハビリには丁度良いのかもしれない。ただ、付き合わされる方はたまらないと思う次第。以後気を付けますね。ではまた。
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山口百恵 「いい日旅立ち」
高原列車は行く 岡本敦郎
[Music 山口百恵] [M; 岡本敦郎]


