アイドル二人
「そういえば、俺達もこんな服装して歩いてたよなぁ~。女の子なんて皆こんな髪型だったなぁ~。」
なんて、話した事だった。
中でも、猛烈に懐かしく感じたのは、松田聖子と中森明菜の二人の女性アイドルの曲である。
思い出すのに、僕が高校3年生の時に山口百恵が引退し、入れ替わりに松田聖子が彗星のごとく現れた印象がある。その頃からアイドル・ブームが起こり、松田聖子に1~2年遅れて、中森明菜の人気に火が付いたように記憶している。
個人的には、高校生の頃から松田聖子の方が断然好きで、当時のアルバムを今でも時々聴くが、今回はもう少し冷静に往年の2人のヒット曲から思い出す事を書いてみたいと思うのだ。


「松田聖子、かっわいいぞ~。う~む。あんな彼女がほしいぞ~~。」
などと真剣に思っていたのだ。
まあ、この辺の個人的な趣味の話は、改めて記事にしたいと思うので、ここまでにしておくが、「青い珊瑚礁」という曲は松田聖子の初めてのヒット曲で、当時街を歩くと、やたらとこの曲が耳についたような思い出がある。僕は最初の頃「青い珊瑚礁」は松田聖子のデビュー曲かと思っていたのだが、後に彼女のファースト・アルバムを聴いて、「青い珊瑚礁」の前に「裸足の季節」という名曲がある事を知った。どちらの曲も10代の女の子の一途な思いを、夏を感じさせるさわやかな歌詞と、ノリの良いリズムに乗せて歌い上げる曲で、聴いていて実に気持ちがイイと思ったものだ。
「高校3年という卒業を控えたなんとなく寂しい気持ちを、松田聖子の明るい曲は吹き飛ばしてくれる・・・。」
当時の僕はそんな事を感じていたのだ。
その後高校を卒業し、1年の浪人生活を経て大学に入学しても、僕の松田聖子ファンは続いていて、その頃には、松田聖子は日本を代表するトップアイドルになっていた。

僕はこの曲に歌われている“知り合った日から半年過ぎても手も握らない”なんて世界は、
「浮世離れもいいところだな~。」
なんて感じていて、事実、当時の世の中は、バブルに向かって膨張を始めた頃で、現実の若者文化は非常にバブリーだった気がするのだ。
にもかかわらず、「赤いスイートピー」は大好きでよく聴いていた。その訳を今考えてみると、この曲に歌われている内容が、現実とあまりにかけ離れた夢の世界のようなので、僕はそこに密かな憧れを持ち、共感していたのではないかと思うのだ。まあ個人的には、この辺が松田聖子の曲を楽しむ真骨頂だと思っているのだが・・・・。


この曲は松田聖子の世界とは正反対で、その辺にいる中学生の女の子が心の底に持っている混沌とした気持ちを上手く表現した事で大ヒットしたと思っている。
僕はこの時も「少女A」が中森明菜のデビュー曲かと思ったのだが、実はこの曲は2曲目で、松田聖子の時と同様、ファースト・シングルに素晴しい曲があったのだ。「スローモーション」である。中森明菜のイメージからは少し異なる曲だが、落ち着いた雰囲気と、サビの部分の伸びのある声が美しく、名曲だと思っている。
この頃、中森明菜が松田聖子に続いてトップアイドルに登りつめた事によって、僕の中では「陽の松田聖子、陰の中森明菜」という2人のイメージが生まれ、暫くの間は、2人のアイドルのそれぞれの面を楽しんで曲を聴いていた。

当時バブルは膨らみ続け、海外旅行が大流行で、大学生の卒業旅行は当たり前、普段でもホイホイと外国に出掛ける学生が、僕の周りにもたくさんいた。そんな旅の窓口になるのが北ウイング、南ウイング、それぞれの出発ロビーを持つ成田空港だった。一度でも外国へ出かけた事のある連中は、旅行の話をする時、
「出発は、北ウイング?南ウイング?」
なんて事を聞いていた気がする。
僕もこの頃、初めての海外旅行を経験し、外国を非常に身近に感じていたので、「北ウイング」に歌われている“彼を追いかけて北ウイングから海外へ旅立とうとしている女性のイメージ”がよく分ったものだ。
ただ、この曲の真髄は、“何もかも捨てて、彼の元へ身一つで旅立つ女性の心に秘めた熱い想い”にある。僕は、この頃から中森明菜の曲を楽しむ方法は、歌われている女性の熱い想いを感じ取る事にあると思い始めたのだ。

またもや個人の好みの話をして申し訳ないが、僕はこの頃の松田聖子がビジュアル的には一番美しいと思っている。歌唱力も完成されて、より一層素晴らしいと思うのだ。(←松田聖子ファンとしては、これだけは、言いたかった!)
この頃の曲で「天使のウィンク」という曲がある。個人的にはこの曲までが松田聖子のピークだと思っていて、僕の中では
「『天使のウィンク』で松田聖子のおとぎ話的遊園地の世界が完成した。」
そんな気がしているのだ。
“おとぎ話的遊園地の世界”と簡単に言っているが、僕のイメージする松田聖子の遊園地はあくまでも、ディズニーランド的な遊園地であって、場末の子供しかいなくて、デートに向いていない遊園地のイメージとは異なる。それだけ松田聖子の曲の世界は大きくて、豪華な気がするのだ。
さて、「天使のウィンク」を最後に僕はしばらく松田聖子を聴かなくなる。ビジュアル的に彼女は相変わらず好きであったが、おとぎ話的な曲の世界に少し退屈してしまったのだ。

初めてこの曲を歌う中森明菜をテレビで見た時は、ホントに驚いた。えらくカッコイイのである。当然「DESIRE」は大ヒットした。
その後、僕は会社に就職して、宴会の2次会などで当時流行り始めたカラオケへ通うようになると、必ずこの曲で盛り上がっていた記憶がある。どの部署にも一人は「DESIRE」の振付を完璧にコピーした女の子がいて、大胆な振りで歌う女の子に我々若手は、
「ヒューヒューヒュー!」
なんて軽薄な合いの手を入れながら騒ぐのである。
どうも、この曲からは薄暗いカラオケスナックと、酒臭い同僚達と、ワンレングスにボディコンのOL達の風景が浮かんでしまうのだ。
さて、ここまで書いてきて、あまりに長い文章になってしまい、我ながら驚いている。こんな長いアホな記事、読む人がいないかもしれないが、そろそろまとめに入らないと、延々とバカ話が続く気がしてきた。ヤバイ、ヤバイ。では、最後に自分の言いたい事だけ書いてまとめてしまおう。
松田聖子と中森明菜には、若い頃の懐かしい思い出がたくさんあるが、今現在でもテレビで時々見かける。そんな時、僕は当時の楽曲のイメージで2人を見ているが、実際、あの頃のイメージからそんなに変わっていないと思っている。
2人には、“今後また新しい世界を作ってより一層活躍して欲しい!”なんて事は全然思わなくて、時々はテレビに出て、新曲でもいい、往年のヒット曲でもいいので、ただ歌声を聴かせてもらいたいと思っている。
懐かしい歌声を聴く事で、
「オヤジもまた何か新しい事を思い出すかも知れない・・・・。」
松田聖子と中森明菜には、そういう期待をいつも持っていたいと思っているのだ。
松田聖子 青い珊瑚礁
中森明菜 少女A
松田聖子 赤いスイートピー
中森明菜 北ウイング
松田聖子 天使のウィンク
中森明菜 DESIRE
[Music 松田聖子] [Music 中森明菜]