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土佐のオヤジの音楽昔話 ~ あの頃の曲を聴いてみた ~ 浪人生活の頃
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ユーミンの「卒業写真」で始まった浪人生活の話。

2008.08.04 Mon
コバルト・アワー


 中学、高校の6年間を音楽とバンド三昧で暮らしてしまった僕は、大学受験に失敗し、1981年の春、とうとう浪人生活を送る事になった。自分の学力も省みず、偏差値の高い大学ばかりを受験したのでこの結果は当たり前なのだが、そうは言っても、大学生と浪人生では雲泥の差がある。片や遊びまくっているのに、こっちは朝から晩まで予備校で勉強である。じつに暗い1年間だった。
 そんな訳で、これから暫くは、浪人時代に聴いた音楽の話を書いてみたいと思う。浪人時代の1年間に聴いた音楽は、今思い出してみると、僕の音楽の好みに微妙な影響と幅を与えた曲が多い。
 今回のお話も、自分から聴こうと思ったジャンルの音楽では無いのだが、一発で大好きなアーティストになり、その後も決してメインとして聴いている訳ではないが、第2、第3の好みのジャンルとして僕の中に定着してしまったアーティストの事だ。まずはその辺の話から始めてみたいと思う。
 僕は、この年の春から、東京の西武新宿線武蔵関という駅にあった予備校の寮へ入り、高田馬場にある予備校に通い始めた。予備校の寮に入る時の荷物は、着替えと布団、勉強道具とラジカセが1台だった。この時は自分なりにも、
「この1年は少し音楽から距離を置いて、真面目に勉強しないとホントにマズイぞ。今度失敗するような事があれば、大学でバンドどころじゃなくなるぞ・・・。」
 と考え、持ってきたラジカセはあくまでラジオを聴く為で、高校時代に聴いてきたカセットテープは全て実家に置いたままであった。
 さて、僕の予備校通いも、一カ月近くが過ぎて寮の中でも何人かの友人が出来、生活のペースが出来始めた頃に、僕の隣の部屋の水戸出身のM本君が、部屋にやって来て、茨城弁丸出しで、
「おめ~、カセットレコーダー持ってるのに、何で聴くテープが無いんだっぺ?」
 と聞く。
 僕は彼に高校時代バンドをやっていた事も、音楽が大好きで、色々と聴き始めると止まらなくなるので自粛している事も全然話していなかったので、こういう質問をされたのだが、僕が事情を説明する間もなく、
「俺が貸してやるっぺよ~。」
 そう言って自室に戻り、2本のカセットテープを持ってきてくれた。その中の1本がユーミン「コバルト・アワー」だった。
「おめ~、ユーミンぐらい知ってるっぺよ~。俺なんか大好きだぞ~、いいぞ~。」
 そういうM本君に、
「知っちゅうけど、ほとんど聴いた事がないぜよ。」
 と土佐弁で言うと、自分の方言は棚に上げて、
「お前と、しゃべると坂本龍馬みたいだっぺ。」
 と笑われた事を覚えている。
 さて、その晩、布団に横になり、部屋を暗くして、ヘッドフォンで「コバルト・アワー」を聴き始めた。そして、曲が「卒業写真」になった時、ものすごい感動と共に、一気に涙が流れそうになったのだ。
 この「卒業写真」という1曲は、僕の頭の中に高校時代の思い出を次々に蘇らせ、一方で浪人生活への不安を一気に膨らませた。
「高校生活は面白かった・・・・。もう卒業して3ヶ月になるのか・・・・。全部が、ものすごく遠い所へ行ってしまった気がする。俺はこれからの1年間どうなってゆくのだろうか・・・・?」
 この時の僕はそんな事を考えながら静かに目を閉じていたのだった。
 こんな事は初めてだった。1人の女性シンガーの歌う曲でこんなに感動して、様々な事が思い浮かぶなんて、夢にも思わなかったのだ。その後の僕は、このアルバムを寝る前に聴く事を止めた。思い出が蘇り過ぎて、眠れなくなるからだ。それでも「コバルト・アワー」は勉強の片手間に聴くアルバムになり、M本君にテープを返したのは、2~3ヶ月後の事だった。
 さて、今回問題の「コバルト・アワー」を久しぶりに聴いてみたかったのだが、音源が無い。しょうがないので、ベスト・アルバムから「卒業写真」を聴いてみた。
 で、ゲッと思ったのだが、45歳の今になっても、感動するのである。ここで歌われた卒業後の内容に今でも思いを馳せる事が出来て、こみ上げてくる何かがあるのだ。
「これは、ヤバイ!恥ずかしい!」
 そう思いながらも、ヒシヒシと感動してしまった。
「いや~~~、参ったなぁ・・・・・。」

卒業写真 ユーミン


 


[Music 松任谷由実]


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平山三紀の「真夏の出来事」で思い出すマニアックな友人の話。

2008.08.11 Mon
真夏の出来事


 浪人生活というのは、基本的に実につまらないものだ。予備校に通いながら勉強しなくてはならないのは当然なのだが、日々同じ事の繰り返しで、生活に全然変化がない。その上にちょっと息抜きのつもりで映画でも観ようか?なんて思っても、
「俺、浪人中だしな~。普通の人みたいに、映画観て遊んでていいのかしらん?」
 なんて、妙に消極的になって、精神状態が落ち着かない。気分転換が難しいのだ。
 僕の場合は、当時住んでいたのが予備校の寮だったので、ゴールデンウィークを過ぎた頃には、たくさんの友人が出来て、彼等と色々な話をする事で、自然と気分転換をしていたのだと思う。北は北海道から、南は鹿児島まで、総勢60人余りの田舎者の集まりなので、話を聞いているだけでも、面白い事がいっぱいあったのだ。
 中でも、静岡県出身のS井君という男と仲良くなって、僕の聴く音楽のジャンルがまたしても広がっていった事が思い出される。
 S井という男は、身長185センチの大男で、高校時代は剣道をやっていたスポーツマン。見た目も悪くなく、今で言う“イケメン”だったのだが、実は“オタク”だった。
 当時“オタク”という言葉があったかどうか知らないが、彼は兄の影響で、昔のドラマやアニメ、女性アイドルなどに異常に詳しくて、その辺の事を話し始めると止まらないのだ。よく夕食後の食堂で、何人かで彼の説明する懐かしいテレビアニメの声優の話やドラマの最終回のマニアックな話を聞いて喜んでいた事を思い出す。
 そんな彼から僕は1本のカセットテープを借りた。そのテープは1960年代後半から70年代前半の女性アイドルの曲がいっぱい入った120分テープで、僕が小学生の頃になんとなく耳にした記憶のある曲が、
「これでもか~!これでもか~」
 という具合に、延々と続くのである。最初聴いた時に、曲のあまりの古さと音の悪さに、S井君に、
「なんやこれは・・・。お前、ホントに変わり者やなあ~。こんなん聴いて面白いんか?」
 と言うと、S井君は、
「兄貴の影響さ。うちの兄貴は小学校の頃から歌謡曲マニアで、俺は幼稚園の頃から一緒にこんなのばっかり聴いてたんだよ。俺の実家にはこの辺のシングルレコードが山ほどあるぜ!」
 などと言っていた。
 さて、S井君に変わり者だと言いながらも、他に聴くテープを持っていなかった僕は、寮の部屋でこのカセットテープを時々流していた。S井君は、このような懐かしのアイドル曲を収めたテープを5~6本所有しており、僕はこれらを順番に借りて、聴いてゆくうちに、頭の中がナツメロ歌謡曲でいっぱいになってしまった。
 今思い出すだけでも、青江三奈「伊勢佐木町ブルース」奥村チヨ「恋の奴隷」、 黛ジュン「天使の誘惑」、 いしだあゆみ「ブルー・ライト・ヨコハマ」、 藤圭子「夢は夜ひらく」、 南沙織「17才」、 欧陽菲菲「雨の御堂筋」・・・・とまあ、挙げ始めるときりがない。そのうち、S井君との会話は、
「やっぱ、いしだあゆみの『ブルー・ライト・ヨコハマ』は名曲だな。大学に合格したらブルー・ライトな横浜へ酒でも飲みに行こうじゃないか!わはははは~!」
 なんて風になっていった。
 そんな会話の中でも、S井君の一押しの曲が平山三紀「真夏の出来事」だった。S井君は、
「この曲は名曲だぜ~。ブルーライト以上だよ。それに、平山三紀は色っぽいぜ~。『真夏の出来事』の写真なんか、たまんねぇ~よ。」
 などと、言っていたが、僕はその時は平山三紀の顔は全く知らなかった。ただ、S井君の言う通り、「真夏の出来事」という曲は、なんとなくポップで垢ぬけた名曲だと感じていて、気に入ってよく部屋で流していたのだ。
 その後、僕が初めて「真夏の出来事」のジャケットを見たのは、大学生も後半、タモリがやっていた深夜番組の「タモリ倶楽部」「廃盤アワー」のコーナーだった。テレビを見ていて曲が流れた瞬間に、
「アッ!」
 と思ったのだが、一瞬何故自分が驚いたのかが分からなくて、その後ジワジワと浪人していた頃の記憶が蘇ってきた思い出がある。そして、S井君の顔が浮かんで来て、
「なるほど・・・。S井の言っていた通り、平山三紀は色っぽいなぁ・・・・。」
 と思った事だった。
 時代が前後するが、浪人生活がスタートしたばかりの頃、僕はS井君という不思議な友人と仲良くなった事で、それまで聴こうとも思わなかった音楽のジャンルを短期間に集中的に聴いた。単純に、
「音に飢えていた。」
 と言えばそれまでだが、これはこれで貴重な経験だったと思うのだ。
 今でも「懐かしのメロディー」のようなテレビ番組があると、リアルタイムで経験した訳ではないのに、やたらと知ってる曲が出て来て、女房に、
「あなた、よくこんな古い曲を知ってるわね~。」
 と呆れられる事があるのだ。
 僕は平山三紀「真夏の出来事」だけでなく、女性歌手が歌う古い曲を聴くと、S井君が得意そうに説明する顔が浮かんでくる。
 彼は、1年後に地元、静岡の大学に進学したので、その後会う事も無かったのだが、イケメン風のスタイルと、マニアックな話しぶりを思い出す度に、
「面白い奴だったな~」
 と懐かしくなるのだ。

平山三紀 : 真夏の出来事


 


[Music 平山三紀]


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アン・ルイスの「恋のブギ・ウギ・トレイン」は浪人生には毒だと思った話。

2008.08.18 Mon
恋のブギ・ウギ・トレイン

 浪人していた頃に聴いていた音楽を思い出していると、非常に面白い事に気が付く。それは、
『当時聴いていた音楽の8割が邦楽で、高校の頃好きで聴いていた洋楽やフュージョンはほとんど聴いていない。』
 という事だ。
 僕は浪人生活が始まった時から、それまでほとんど聴いた事が無かったアーティストの曲ばかりを、豹変したように聴くようになった。予備校の寮で生活していた仲間達の中に、洋楽やフュージョンが好きな奴がいなかった事と、只々音楽に飢えていたせいもあるが、友人達から借りたカセットテープに録音されていた、いわゆる『当時の若者が普通に聴いているニューミュージックが思いのほか気に入ったせいもあった。
 僕は浪人生活の間に、それまで聴いた事も無かったユーミン竹内まりや大瀧詠一山下達郎南佳孝柳ジョージなどのアルバムを次々と聴いては、
「おお~っ、邦楽も結構イイじゃない~。」
 なんて、感じていたのだ。
 さて今回は、僕がこの時期聴いていた曲の中で、非常に気に入ると同時に、いつも悶々とした気持ちにさせられていた曲の話だ。(←相変わらず前置きがちょっと長かったかな?申し訳ない。)
 ちょっと前に、当時予備校の寮で仲の良かった“イケメン”で“オタク”のS井君という人物の話をしたが、(←記事はこちらです。)今回のお話も、このS井君から借りた1本のカセットテープから始まる。
 S井君という男は面白くて、決してアルバム1枚をカセットテープに録音するような事はぜずに、もうただひたすら自分の好きな女性歌手の曲を前後の脈絡は何もなく、音の良し悪し関係なく続けざまにテープに録音していた男で、僕が彼から借りるカセットテープは最初に聴く時は、新しい物でも、古いものでも、
「一体次にどんな曲が録音されているのだろう?」
 と期待半分、不安半分でドキドキする代物だった。
 まあ、逆にその辺が面白くて、彼からはずいぶんたくさんのテープを借りた気がするが、比較的当時の新しい曲が収められていたテープを聴くうちに、僕はアン・ルイスの歌う「恋のブギ・ウギ・トレイン」という曲を何回も聴くようになった事を覚えている。
 それまで僕の中では、アン・ルイスという歌手は、『可愛らしいハーフのお嬢様歌手』というイメージしかなく、正直、「恋のブギ・ウギ・トレイン」で彼女のあまりのカッコ良さに、よい意味で、
「おお~~~っ、完全に裏切られたぞ!」
 と感じた事だった。
 その後も彼女は「六本木心中」で再び良い意味での裏切りを見せるのだが、その話はまたの機会にして、とにかく、「恋のブギ・ウギ・トレイン」は実にカッコ良く、寮の部屋で何度も聴いた曲だった。
 にもかかわらず、当時の僕はこの曲の作詞が吉田美奈子、作曲が山下達郎である事を全く知らなかった。呆れた話だが、それも当り前で、僕が初めて山下達郎のアルバムを聴いたのは、この年の冬近くなってからの事のように記憶している。
 まあ、僕は昔から曲の成り立ちにあまり興味がなく、直感で
「かっこエエのぅ~。」
 なんて、すぐマヌケ面をする傾向があったので、(←今でも同じだ!)しょうがないのだ。
 話がそれてしまったので、元に戻すが、この時の僕は確かに「恋のブギ・ウギ・トレイン」という曲が大好きで、寮の部屋で何回も聴いたのだが、同時にこの曲には実に悶々とさせられた記憶の方が強い。
 その辺の事を少し説明すると、当時の僕は「恋のブギ・ウギ・トレイン」は、ディスコの楽しさを実に分かり易く、かつ楽しく表現したダンスミュージックだと感じていた。そして、この事が、『浪人生の僕が遊んでいる大学生に対して抱いている嫉妬心』を微妙に煽り、この曲を耳にする度に浪人生活の間中抱えている悶々とした気持を必要以上に湧き起こさせる結果となったのだ。
 簡単に言うと、僕はこの曲を聴く度に、
「う~む。大学生が羨ましい。女の子とディスコで踊りたい。遊びたい、遊びたい、遊びたい、遊びたい・・・・。」
 という思いが湧き上がってきて、イライラした気持ちを抑えられなくなっていた記憶があるのだ。浪人生には、実に「毒」な曲なのだ。今思うと実にバカバカしい話だが、当時はこの曲で毎晩のようにイライラを募らせて、悶々としていたのだ。いやはや、浪人生活とは辛いものである。
 そんな当時の気持ちを思い出しながら、久しぶりに聴いてみました。「恋のブギ・ウギ・トレイン」
 当時の音源は無かったので、アン・ルイスのベストアルバムから聴いたのだが、今聴いても実に良い。中年のオヤジでも、なんとなく気分がウキウキしてくる楽しい曲なのだ。一緒に聴いていた女房は、
「懐かしい、懐かしい」
 を連発し、
「短大生の頃かな?私この曲聴きながら軽井沢に遊びに行ったわ~。あの時の車はファミリアだったわ~。」
 などと、当時の思い出話を始め、長男は、
「へ~っ、いい曲やな。俺にダビングしてくれよ。」
 などと言い出す始末。
 僕は、
「この曲って、世代を超えて気に入られる曲なんだなぁ・・・。」
 なんてちょっと感動してしまった事だ。
 で、オヤジはというと、楽しい曲の中にも、何となく寂しく、悶々とした複雑な気持ちを思い出しながら、浪人生活をしていた頃へ思いを馳せていたのだ。

アンルイス - 恋のブギウギトレイン


 


[Music アン・ルイス]



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