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土佐のオヤジの音楽昔話 ~ あの頃の曲を聴いてみた ~ 2008年12月
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ステップスの「TEE BAG」を聴いて、浪人生活から脱出した話。

2008.12.22 Mon
スモーキン・イン・ザ・ピット

 1982年の年が明けた。僕は正月も高知の実家へ帰省することなく、同じように田舎へ帰省せずに残っている友人達と、予備校の寮で普段と何の変わりもない正月を過ごしていた。この頃になると大学の入試は目前に迫っていたが、僕は特別追い詰められたような気持もなく、毎日を淡々と過ごしていたように思う。
 1月も中旬を過ぎ、国立大志望の友人達が受けたばかりの共通一次試験の自己採点とその結果から、2次試験の大学選定に騒いでいる頃、高校時代のバンド仲間のN田君が寮に電話をくれた。彼は一足先に現役で大学に合格していて、僕がそろそろ試験という事もあり、
「おい、入試頑張れよ!早く合格してバンドやろうぜ!」
 などと、激励してくれたのだ。
 この時に彼とはずいぶんと長い時間電話で話しをして、今考えてみると、この時の電話の内容がその後の僕の大学生活の基本を作ってしまうのであるが、その辺の話はまた別の機会にお話するとして、話の中でN田君は、
「そういえば、この前ブレッカー・ブラザーズを見に行ってきたけんど、良かったぞ~。やっぱりマイケル・ブレッカーは凄いぞ。お前、ステップスの『スモーキン・イン・ザ・ピット』ってアルバム聴いたことある?1回聴いてみぃ~ホンマに凄いぞ~。」
 なんて事を言っていたのだ。
 電話を切った後で、僕の意識は急速に高校時代へ引き戻された気がした。
「そうや・・・。そもそも俺はフュージョンが好きだったんじゃないか。浪人してたこの1年、変な音楽ばっかり聴いてきて、肝心の1番好きなフュージョンの世界には随分と遅れを取ってしまった気がするなぁ~。現実に高校の時のバンドの友人達は、色々な生の音、新しい音を聴いているじゃないか・・・。俺は一体何をしているのだ・・・?」
 そんな事を考え始め、
「一刻も早くこの浪人生活から抜け出して、自由に音楽が楽しめる環境に移行したい。」
 と強く思ったのだ。
 その後、2月になると僕も入試が始まり、3月に入る頃には5校受験した内のなんとか2校の合格キップをもらい、
「あ~あ・・・。まあ、なんとか大学へ滑り込む事が出来たなぁ・・・。」
 なんてホッと一息ついた事を思い出す。
 そして、この頃になると4月から新しく住むアパートを探したり、引っ越しの準備などをしていた記憶があるが、基本的には毎日が暇で、寮から出るまでの10日間ほどの間、何もする事がなかった。
 そんな宙ぶらりんの状態のある日、僕は突然N田君が電話で言っていたステップス(後にステップス・アヘッドと改名)のアルバム、スモーキン・イン・ザ・ピットの事を思い出したのだ。
「そうじゃ!N田が言っていたアルバムでも聴いてみよう・・・。」
 そう考えて、予備校の友人の中で唯一コンポを持っていたF沢君に電話をかけて、
「これからLP持って遊びに行っていいか?」
 と了解を取り付け、高田馬場の駅前のビルにあるレコード店で早速スモーキン・イン・ザ・ピットを購入し、彼が大学生の兄貴と一緒に住んでいるボロアパートへ向かった。(←F沢君の事は、以前にも記事にしてあるので気が向いたら読んでみてね。こちらです。)
 F沢君もこの時はすでに志望校へ合格しており、男2人で暮らしていたアパートは、相変わらず汚かったが、
「ちょっと遠いけど、俺はこのアパートから大学へ通う事にしたよ。」
 なんてすがすがしい顔でF沢君が話していた光景が頭に浮かんでくる。
 さて、僕はこれまでにも、時々F沢君の部屋に遊びに来てはコンポを拝借して音楽を聴いていたので、僕にとって彼のコンポは、『勝手知ったる他人のステレオ』状態で、この時も購入したばかりのスモーキン・イン・ザ・ピットをターン・テーブルにセットして、早速流し始めたのだ。
 1曲目の「TEE BAG」が流れ始めた瞬間に実に気持ちの良い4ビートの世界が部屋中に広がって、オーバーな表現だが、それまでと世界がガラッと変わったような感覚を持った事を今でも覚えている。
 そして、この時、
「俺がこれから聴いてゆく音楽っていうのは、絶対にこういう方向のモノに違いない。浪人中は寄り道ばかりした気がするが、結局はこういうのが一番好きなんだ。今、はっきり分かったぞ。」
 と、自分の好きな音楽の根っこを発見したような、純粋な気持ちになった事を思い出す。そして実に個人的な話だが、浪人生活に入った頃から切れていた音楽のスイッチが頭の中で「パン!」とオンになったような気がしたのだ。この事を、どう説明すれば良いのか分からないが、それまでの閉塞感のあった音楽の世界から、この1曲目でポンと道が開けたような感覚を味わったのだ。F沢君のアパートからこのLPを抱えて予備校の寮へ帰る間も、僕は自分の音楽的な何かのスイッチが完全にオンになった事を感じて、気分が高揚していた事を覚えている。
 さて、話をスモーキン・イン・ザ・ピットの事に移すが、ちょっと説明すると、このアルバムは、ステップス来日時に六本木のライブ・ハウス「ピット・イン」で行われたライブを収録した2枚組のアルバムで、マイク・マイニエリ(Vi)、マイケル・ブレッカー(Ts)、スティーブ・ガッド(Ds)、ドン・グルニック(P)、エディ・ゴメス(B)の5人のメンバーと、ゲストの渡辺香津美(G)が、それこそ空前絶後の演奏を繰り広げる。とにかく、あまりにレベルの高い演奏に何回聴いても驚かされるのだ。
 全ての演奏が素晴らしいのだが、特に圧巻は3曲目の「FAWLTY TENORS」でサンバのリズムと4ビートが代わるがわるに刻まれるビートに乗せて、壮絶なアドリブが繰り広げられる。そのバックで、スティーブ・ガッドお約束の神業のようなドラムを聴く事が出来る。
 また、7曲目の「NOT ETHIOPIA」も複雑なリフの連続に圧倒される上に、続く渡辺香津美のアドリブが面白い。そして最後に物凄いドラム・ソロを聴く事が出来る。
 今回久しぶりに全編通して「スモーキン・イン・ザ・ピット」を聴いてみたが、只々懐かしく、感動し、呆れ果て、最終的には疲れてしまった。
 でも、面白い事に、浪人時代を通して『何でもあり!』的に音楽を聴いてきた僕にとって、この壮絶なアルバムは、当時のブレた軸を修正させて、フュージョンを聴くスイッチを入れる絶好の特効薬になった事が、今になってよく分かるのだ。
 そして今回、
「このアルバムを聴いた時が音楽的に浪人生活から抜け出た瞬間だった。」
 という気さえしてきたのだ。
 そう考えると、「スモーキン・イン・ザ・ピット」というアルバムは、その後4年間の大学生活のスタート地点に燦然と輝く、記念すべきアルバムで、自分の聴いてきた音楽の話をする上では、避けて通れないアルバムなのだ。
 ちょっとオーバーな話になってしまったが、それだけ熱いモノを感じる良いアルバムである事は間違いない訳で、これからも折に触れ「スモーキン・イン・ザ・ピット」は聴いてゆく事になると思う。そして、老化して切れ安くなったオヤジの頭の中の音楽スイッチを「パン!」とオンにしてもらいたいと思っているのだ。

 


[Music Steps Ahead]


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ジョージ・ベンソンの「ギブ・ミーザ・ナイト」を聴いてみた。

2008.12.24 Wed
GIVE ME THE NIGHT クリスマス・イブである。
 僕の場合、学生の頃にはあまりロマンチックなクリスマスの思い出は無いのだが、悲しい事に、ロマンチックな設定に憧れる気持ちはこの頃が一番強かった。まあ、人生なかなか上手くいかないものである。
 そんな大学1年の12月、僕はウォークマンでジョージ・ベンソンのアルバム「ギブ・ミー・ザ・ナイト」を聴きながら、日が暮れ始めた渋谷の街を歩いていた事を覚えている。この日行われるクリスマスのダンス・パーティーで、同じサークルのバンドが演奏しており、そんな関係からチケットを買わされて、パーティー会場へと向かっていたのだ。
 渋谷駅から公園通りを登って行きながら、
「あわよくば、可愛い女の子でもナンパしてやろう・・・。」
 なんて調子のイイ事をボンヤリ考えていたのだが、それよりも耳に入ってくるジョージ・ベンソンの洒落た曲が、クリスマス用にデコレーションされたネオン輝く夕暮れの渋谷の街にピッタリはまって、映画の1シーンでも見ているかのような錯覚を覚えた記憶がある。
 この頃の僕は、ジョージ・ベンソンが大好きで、次から次へと彼のアルバムを聴いていた。中でも「ギブ・ミー・ザ・ナイト」は最もよく聴いたアルバムで、僕の中でのオシャレなアルバムっていうのは、こういうアルバムの事なのだ。今回久しぶりに聴いてその辺の意識は当時から全然変わっていない事を改めて確認してしまった。(←つまり全然進歩がないのだな・・・・。)
 そうそう、この時のダンス・パーティーでのナンパは成功せず、結局サークルの連中と明け方近くまで酒を飲んで騒いだ事を思い出した。

George Benson - give me the night


 


[Music George Benson]


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ジョン・メイヤーの「ヘヴィアー・シングス」を聴いてみた。

2008.12.26 Fri
ヘヴィアー・シングス 明日から正月休みだ。しばらくのんびり出来て嬉しいのだが、その前に家の大掃除がある。これが実に面倒臭いのだ。毎年の事とは言いながら、考え始めると
「あそこも、ここも・・・。」
 と頭に浮かぶ汚れた場所があり、うんざりしてしまう。
「まあ、そんな事は忘れて、今夜は呑気に音楽でも聴こう。」
 と現実逃避が得意なオヤジは、昨晩ジョン・メイヤー「へヴィアー・シングス」を聴いた。このアルバムは懐かしくも何ともない、ほんの最近聴くようになったアルバムだ。 
 僕はこのアルバムを聴くと
「こういうポップな曲で、こんなギターを弾くのが今の時代はカッコいいんだろうなぁ・・・。こんな風にギターを弾く感覚は俺には絶対無いもんなぁ・・・。」
 と思ってしまう。そして最終的にはジョン・メイヤーの音楽に必死でついて行こうとしている自分に気が付き、すごくオヤジを感じてしまうのだ。無論、このアルバムは大好きで、聴けば聴くほど気持ちが良く、すがすがしい気分になる。特に最近では車の中でよく流して、一人イイ気になっている事が多い。
「僕好みの音楽だ!」
 という点には全く異論が無いのだが、悲しい事にこのアルバムは、僕の音楽的な感覚が入り込む余地が無いような気がするのだ。僕のこれまで聴いてきた音楽とは全然異なる世界で完璧に作られたアルバムのような気がしてならないのだ。聴き終わると、いつもちょっと寂しい思いがするアルバムだ。

 


[Music John Mayer]


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