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土佐のオヤジの音楽昔話 ~ あの頃の曲を聴いてみた ~ 2011年01月
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菊池ひみこの「What’s Baby Singin’」とフレットレスベースの話。

2011.01.14 Fri
Don’t Be Stupid

 以前、ジャコ・パストリアスに憧れてフレットレスベースを手に入れる為に夏休みの間バイトに励んでいた話を書いたが(←その辺の話はこちらこちらです。)、1983年の秋に、僕は念願のフレットレスベースを手にする事になった。
 正確に言うと、大学入学時に購入したヤマハのベース(BB2000)をフレットレスベースに改造し、新たにミュージックマンスティングレイを購入した訳だが、この事で僕は、
「ふふふっ、この2本のベースで俺のプレイの幅は限りなく広がるのだぞ。まいったか皆の衆!」
 なんて事を能天気に考えていた訳だ。
 さて、問題のフレットレスベースだが、アパートの部屋に持ち帰り、初めて弾いた時は実に気持ち良かった事を覚えている。フレットレス独特の柔らかい音の立ち上がりとグリッサンドした時のボヨヨ~~ンと空間が広がるようなトーンは、
「わはははは~、これで俺もジャコ・パストリアスじゃ!」
 などと、大きな勘違いをするには十分のインパクトがあったものだ。
 ただ、そうは言っても、この勘違いは自分の気持ちの上での話であり、
「よ~し、んじゃぁ早速ジャコの曲をバンドでやろうぜ!」
 なんて事を言い始めるほど大胆ではなかった僕は、バンドのレパートリーの中で、フレットレスベースの演奏に向いている曲をキチンと見つけていたのだ。それが菊池ひみこ「What’s Baby Singin’」という曲だった。
 そもそも、この当時我々のバンドは何故か菊池ひみこに凝っていて、「What’s Baby Singin’」の他にもレパートリーにした曲が何曲かあったのだが、メンバー全員が一番気に入っていたのは、この「What’s Baby Singin’」だったと記憶している。
 気に入っていた理由は、実に我儘なバンドマン的な発想なのだが、ベースの僕は、
「おお、イントロで珍しくベースがフューチャーされとる!こりゃ、目立つ事間違いない!!」
 なんて事を思っていたし、ドラムは、
「楽なリズムがず~~~と続いて、ステージでの休憩の曲にはもってこいだ・・・。」
 そう考えていたに決まってるし、キーボードとギターは、
「あ~こりゃノンビリとアドリブが延々と弾けそうじゃ~。楽に目立てる・・・。」
 なんて思っていたろうし、ボーカルは、
「最初の肝心な所だけ唄えば、後はシェイカーでも振ってれば終るわ・・・。」
 そう考えていたに違いないのだ。
 ・・・なんて、これは全て僕の想像の域の話なので、ベース以外は正確な話ではないのだが、まぁ言ってみれば、
『「What’s Baby Singin’」は、意気込む人は意気込んで、楽な人は楽をして、のんびりする人はのんびりと演奏出来る。』
 そんな曲だったのだ。
 さて、僕のフレットレスベースのデビューは、11月に行われた大学の文化祭であった。
 ここでちょっと説明すると、僕が所属していた大学の音楽系サークルは文化祭の間、学生会館の1階の広いスペースで、日中はライブハウス、夜はディスコと、まぁ馬鹿な大学生がすぐ考えそうなイベントを行っていた。
 特に夜のディスコは客と一緒に自分達も酔って踊り狂うという、良く言えば
「一石二鳥。」
 悪く言えば
「自分達だけはタダで飲んで騒ぐ。」
 という実にいいかげんなイベントだったと記憶している。
 さて本番当日。2本のベースを抱えて下北沢のアパートからヨロヨロと大学へやってきた僕は、(←2本もベースを抱えると重くてしょうがないのだよ。)
「むふふ。いよいよフレットレスベースを響かせる時がやってきた。俺のジャコのようなプレイを見て、腰をぬかす奴が出ないか心配じゃ・・・。」
 などと一人呟きながら、静かに演奏の順番が来るのを待っていた。そんな中、我々の前のバンドの演奏が終り、有難い事に、15分程の休憩の間に客がどんどん会場に入り始めたのだ。
 思い出してみると、この頃の学内は、ロック系とニューミュージック系のバンドがほとんどで、一方、4ビート系はジャズ研が専門だった事もあり、我々のように正統派のフュージョンを演奏するバンドは非常に珍しく、そんな事もあって客席はいつも満員だったと記憶している。
 そしてこの時も、満員の客の前で我々はいきなり「What’s Baby Singin’」を演奏した。この演奏は、客が多かったという事と、文化祭という特別の場であるという事、そしてフレットレスベースに懸ける個人的な意気込みとが相まって、僕の弾くフレットレスのけだるい音が曲全体を包み込み、我ながら実にイイ演奏だったと記憶している。
 とまぁ、ここまでが僕のフレットレスベースのデビュー話なのだが、今回久しぶりに「What’s Baby Singin’」を聴いてみると、大学生の頃に聴いていた音の悪いカセットテープにも拘わらず、
「やっぱり名曲だよなぁ~。」
 と感じてしまった。
 細かい話になるが、「What’s Baby Singin’」で聞こえる赤ん坊の声は、実際に菊池ひみこの子供の声を録音したものらしく、曲のイメージを印象づけるのに大きな効果を得ている。その上、暖かい春を思わせるような雰囲気が全体的に流れていて、それが決してチャラチャラしたものではなく大人の世界を感じさせる所が、この曲が何年経っても色褪せない大きな原因だと思うのだ。
 「What’s Baby Singin’」が収録されたアルバム「Don’t Be Stupid」は現在廃盤のようだが、
「なんとか良い音でキチンと聴いてみたいもんじゃ・・・。」
 そう強く感じた事だった。
 さて、話を再び過去へ戻すが、その後の僕はこのフレットレスベースを暫くの間弾き続けたのだが、この時以来フレットレスを使って満足感を得られるような演奏をする事がなく、結局1年後にこのベースを後輩に売ってしまったのだ。
「まぁ、何事にも“熱し易く冷め易い”土佐人の気質がモロに出た行動だよな・・・。」
 なんて思うのだが、今となっては、
「あのベース、売るんじゃなかったよなぁ~。手元にあれば、色々と楽しめるのに・・・。」
 と後悔しているのが現実だ。
 いやはや・・・なのだ。

菊池ひみこ - What's Baby Singin'

[Music 菊池ひみこ]


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マディ・ウォーターズの「アット・ニューポート」を聴いてみた。

2011.01.18 Tue
アット・ニューポート 突然だが、
「一番好きな酒は何かな?」
 と聞かれると、迷わず、
「ビール!」
 と言ってしまう。
 これは若い頃からずっとそうで、真冬でもまず飲み始めるスタートは絶対にビールなのだ。
「じゃあ、2番目は何かな?」
 と聴かれると、ちょっと迷った末に、
「う~む・・。ウィスキーかな?」
 と答える事になりそうだ。
 先日、新しくバーボンの封を切った。いつも飲んでいるフォアローゼスなのだが、新しいボトルの封を切る時は独特の喜びがある。他の酒には無い何とも言えない満足感が漂うのだ。
 オヤジはこの満足感に浸りながら、新品のフォアローゼスに合いそうなアルバムを頭に浮かべようとしたが、結局何も思い浮かばず、その日はテレサ・テンの演歌を聴きながらフォアローゼスを楽しんだ事だった。(←全然合って無い事は分かってます。)
 ところが、週末になって急に思いついたアーティストがいた。マディ・ウォーターズなのだ。とは言っても、現在手元に持ってる音源は「アット・ニューポート」だけで、ここしばらく聴いた事がない。しかし、このジャケットの雰囲気からイメージ出来るコテコテのブルースの世界は、
「バーボンを飲みながら聴くしかないがぜよ。」
 と、龍馬のごとく土佐弁で断定したくなるのに十分なのだ。
 で、週末は「アット・ニューポート」のブルースの世界にどっぷりつかっておりました。ただし、飲んでたのは土佐鶴の熱燗だけど・・・(笑)

 
[Music Muddy Waters]





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アート・ファーマーの「アート」を聴いてみた。

2011.01.21 Fri
アート 日曜日、朝から運転免許の更新に出かけた。この日は、折しも強烈な寒波が来襲しており、朝の気温は氷点下4度。高知市では滅多にない寒さだった。寒いのが大嫌いなオヤジは、
「あ~あ~、出かける日にこんなに寒くならなくてもいいのに・・・馬鹿!!」
 なんて怒りながら、車で30分ほど走った所にある“高知県運転免許センター”へ向かったのだ。
 8時の受付開始後すぐに書類を記入し、目の検査、写真撮影と進み、20分ほどで手続きは完了したのだが、最後に残った講習が大問題だった。何と講習の開始時間が9時50分だと言うのだ。
「1時間以上もあるじゃないか!おい!どうしてくれるんだ!」
 そう叫びたくなったが、しょうがない。ロクに暖房が効いてない寒い待合室で時間を潰す事になってしまった。
 幸いな事に家からiPotを持参していたので、自販機で暖かいコーヒーを買い、
「さ~て、何か暖まる曲でも聴くかな・・?どれどれ?」
 とiPot の画面を覗き込んでいるとパッと目に入ったのがこのジャケット、そうアート・ファーマーのアルバム「アート」なのだ。
 アート・ファーマーには「モダン・アート」という名盤があるけれど、ジ~~ンと暖まりたいなら断然「アート」の方が良い。彼の吹くトランペットは、決して派手ではないが一音一音を噛み締めて語りかけてくるような優しさと暖かさがあるのだ。
 特にスタンダード・ナンバーを集めた「アート」では、ワン・ホーンという事もあって彼の素朴で暖かいプレイが存分に楽しめる。寒い待合室で聴くアート・ファーマーのトランペットは熱いコーヒーと同じくらいオヤジの体に心地よく沁み込んでいった。

I'm A Fool To Want You - Art Farmer


 
[Music Art Farmer]





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