イーグルスの「ホテル・カリフォルニア」とH山君の恋の話。
高校生の頃は、何らかのイベントがあるとすぐに、盛り上がるもので、たくさんの思い出がある。今回の昔話は、運動会の事なのだが、まあ正確に言えば運動会の本番よりもその前後の思い出話で、恋の話なのだ。
我々の学校では高3の時と高2の時の運動会はちょっと特別な意味があり、やぐらを組んだり、クラス毎のダンスを考えたり、仮装行列の準備をしたり、応援団を作ったりと事前の準備がたくさんあって、色々と大変ではあるが、良い思い出作りが出来てなかなか面白かった記憶がある。
僕も運動会の数日前から、準備作業をしていたのだが、その時僕は、隣の下宿のH本君からある相談を受けていた。
H本君は、当時1学年下の高2で、中学時代は野球部でならし、真黒に日焼けした顔が印象的な男だった。
彼は、運動会の準備をしてゆく中で、どうも一緒に準備をしている同級生の女の子を好きになってしまったらしく、運動会の準備作業の途中ばかりか、毎晩のように僕の部屋にまでやってきて遅くまで話し込んでいた。
「なんか、上手い告白の方法はないろうかねぇ~。先輩~、なんか考えて下さいや~。」
「そうやねぇ~。まず、今は、運動会前やき、タイミングが悪いぞ。運動会が終わって、その後の“うちあげ”かなんかで、上手い事話をしてみたらどうな?」
なんて事を、夜遅くまで、真剣に話していた事を思い出す。
H本君の好きになった同級生の女の子(仮にY子さんとしておく。)は、小柄でクリッとした目と、まっ白い歯が印象的な、非常に明るい女の子だった。Y子さんは誰とでも気軽に会話して、ケラケラとよく笑う明るい子だったので、かなり人気があったと思う。僕は、
「H本はかなり競争率が高い女の子を好きになったもんじゃにゃぁ~。なんとも勝算は低いぞ~。」
なんて密かに思っていた。
そんな事を考えている間に時間の方はどんどんと過ぎて行き、運動会の当日がやって来て、特にトラブルもなく運動会は無事に終了した。
翌日は代休なので僕は寝ていたのだが、朝早くからH本君が、僕の部屋へやってきて、
「先輩~先輩~。やったで~。」
と小踊りしている。
僕は蒲団から飛び起きて、
「お前、Y子に話したんか?うまいこといったんか?」
と、聞くと、
「来週一緒に映画いきます~。ウヒヒヒヒ~。」
てな具合だった。
H本君は、運動会後のクラスの“お疲れさん会”の帰りにY子さんに告白して、一緒に映画を見に行く事を決めたようだった。
気分が最高のH本君は、
「先輩~。なんか、こう、大人が聴く、渋いテープ貸して下さいや~。」
と、言い始め、
「はあ?渋いテープねえ~。この辺なんかどうや?。大人かどうかわからんけど、カッコえいぞ~。」
と、僕が2~3本貸したテープの1つがイーグルスの「ホテル・カリフォルニア」だった。
それから、H本君の部屋からは、いつも「ホテル・カリフォルニア」が流れていて、
「先輩~。エエですね~。イーグルス、カッコエエですね~。俺も、こういう曲が似合う男にならないかんと思います!」
などと、訳が分からない事を言い始め、ずいぶんハイになっていた。
デート当日は、体形が似ている同じ下宿の僕の友人のH田君から服を借りて、スポーツ刈りの頭に、整髪料をたらしてウキウキと映画に出かけて行った。
さて、夜になって夕食も終り、部屋でくつろいでいると、同級生のY田君が僕の部屋に来て、
「H本が振られたぞ!メシも食わずに部屋で寝ゆうぞ。」
という。急いでH本君の部屋に行くと、鍵がかかった部屋の中から「ホテル・カリフォルニア」が聴こえていた。
後々までH本君がどうして振られたのか、詳しい事は分からなかったが、とにかく、
「あなたなんか、大嫌い!」
みたいな事をデートの最後で言われたらしい。
友人のH田君は、
「あいつは、舞い上がっても、落ち込んでも、“ホテル・カリフォルニア”かい。センスないの~。」
と、笑っていた。
そんな事を思い出しながら、早速聴いてみました。「ホテル・カリフォルニア」。
僕は昔からこの曲を聴くと、すごくミーハーな気分になって、単純に、
「ああ~っ、イイ曲や~~~。」
と思ってしまう。
アルバム全体としても、あまりに売れすぎたせいか、
「あれはだめだ!」
なんて言う人が結構いるけど、僕は大好きなのだ。
今回改めて聴き直して、
「全体に流れるけだるい夏の盛りのイメージが、運動会疲れとH本君の失恋のイメージとにぴったりだ。」
なんて思ってしまった。
The Eagles - Hotel California
[Music Eagles]
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