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土佐のオヤジの音楽昔話 ~ あの頃の曲を聴いてみた ~ 松田聖子の「夏の扉」はダサかった話。
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松田聖子の「夏の扉」はダサかった話。

2008.10.13 Mon
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 前回の思い出話から、浪人していた年の夏の事を書いているのだが、あの夏は忘れられない思い出がある。今となっては何て事ない話なのだが、その時は結構ショックを受けた思い出なのだ。今日はその話を書いてみたいと思う。
 僕が浪人していた1981年の夏は、今とは違って若者の文化が非常にバブリーな時代であった。ポパイなどのファッション雑誌には毎月のように時代のトレンドを感じるファッションやライフスタイルが紹介されており、僕の周りにもブランド品を身につけたボンボンの浪人生がウヨウヨいた。ほとんどが都内に実家がある連中で、酷い奴になると外車で予備校に乗りつける奴もいたように記憶している。
 僕自身こういう連中には違和感を持っていたが、1人だけS籐君という実家が高輪にある超おぼっちゃんと仲良くなった事がある。理由は音楽の趣味が合ったからで、彼は楽器は演奏しないが、僕が高校時代に聴いてきた音楽とほぼ同じジャンルのロックが好きなうえに、フュージョン系の音楽にもかなり詳しかった。そんな事から彼とは自然に意気投合して、予備校の授業の合間に音楽の話ばかりをするようになっていた。
 夏休みも終ろうとしている頃、授業が終り寮に帰ろうとしている僕をS藤君が呼び止め、
「俺さ、今日彼女とデートなんだ。駅前の喫茶で待ち合わせてるんだけど、お前も一緒にお茶ぐらい飲まない?」
 なんて誘われた。
 今思うと、S藤君は単に自分の彼女を僕に見せびらかしたかっただけなのだろうが、何も考えていなかった僕は
「ああ・・いいよ・・。」
 なんて、野暮丸出しで、スタコラサッサとS藤君の後についていったのだ。
 待ち合わせの喫茶店に着くと、都内の短大に通っているというS藤君の彼女はメンソールのタバコを吹かしながら、
「この辺、車止める場所があんまりないと思ったんで早目に出たら、早く着き過ぎちゃったのよ。」
 なんて事を言っていた。そしてそのスタイルは、まさしく当時流行っていたバリバリのハマトラで、お金持ちのお嬢様の雰囲気がプンプンするなかなかの美人であった。
 S藤君が、僕の事を、
「こいつさ、高知県から来てて、寮にいるんだぜ~。んで、結構俺と音楽の趣味が合ってんの。ギターも弾けるみたいだし・・・。」
 なんて紹介すると、彼女は、
「ええ~~、高知~~! 高知って四国? 四国の4県て、私どこがどこだか分からないのよね~。」
 なんて言っていた。
 そんなやりとりの後、音楽の話になったのだが、この彼女はほとんど僕らが聴いてきたロックやフュージョンに興味がなく、もっぱら当時流行っていた洋楽を車の中で流しているようで、S藤君は気を使ってフンフンと相槌を打っているが、僕とは全く話がかみ合わなかった。かと言って、他人の彼女を前にして、浪人中で高知の田舎者が気の利いた話が出来る訳でもなく、結局僕はS藤君とマニアックな音楽の話ばかりしていたのだ。
 そんな話の中で、S藤君が彼女に、
「こいつ、こんなに見えても松田聖子のアルバム聴いてんだぜ。「夏の扉」が最高なんだって!」
 と言った。すると彼女は、
「ええ~っ、マツダセイコ~、ダサ~~イ。なんで突然松田聖子な訳よ!? やっぱ、高知県だわ・・・。」
 と、バッサリやられたのだ。
 僕は何も言い返す事が出来ずに、その場に気不味い空気が流れた事を覚えている。
 前にも記事にしたが、僕は高校3年の頃から松田聖子のファンだった。(←その辺の記事はこちらです。)高校の音楽仲間からは、ちょっと馬鹿にされたり、からかわれたりしたが、それはあくまで、
「ロックを聴いてギターを弾いてる人間が、歌謡曲にうつつをぬかして、どういう事ぜよ?」
 的な見方であり、僕の方は僕の方で、
「んでも、好きな物はしょうがないわや。」
 とあまり気にも止めて無かったのだ。
 しかし、東京の最先端の女の子にいきなり、
「松田聖子はダサイ!」
 とやられると、
「俺の音楽の好みって女の子には受け入れられないダサイものなんだ・・・。」
 と、女性方面でも明るい大学生活を夢見る浪人生には結構ショックだったのだ。
夏の扉 寮に帰る電車に乗る頃には、頭も冷静になり、当時巷にあふれていた「夏の扉」のシングル・レコードのジャケットを頭に思い浮かべて、
「ま、ダサイと言われても、好きなモノはしょうがないわなぁ~。少なくともS藤の彼女よりも、松田聖子が可愛い事は間違いないし・・・。」
 などと、訳の分からない理屈で納得しようとしていた事を思い出す。
 さて、久しぶりに松田聖子「夏の扉」が収録されているアルバム「シルエット」を全編聴いてみた。
 で、問題の曲「夏の扉」だが、今聴いてもやっぱ名曲だと思った。
 前奏から強い夏の陽射しと弾けるような若々しさを感じて、ノリの良いリズムが実に気持ちが良い。初期の松田聖子が持っていた夏、海、青春、初恋のイメージを代表するナンバーで、彼女の初期の楽曲では、絶対ベスト3に入ると思ってしまった。
 この歳になると、音楽の好き嫌いは個人の趣味の問題で、
「ダザイ!」
 なんて言われても、全く大きなお世話なのだが、当時の僕は、
「東京に出て来た以上、流行には敏感でなければならない!お洒落で、カッコ良くなくてはならない!」
 なんてアホな事を真剣に考えていたので、結構ショックな出来事だったのだ。
「う~む、若くて純情だったなぁ~。」

松田聖子 : 夏の扉


 


[Music 松田聖子]



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こんばんは!
あの時の松田聖子は、フリフリのドレスに巻き髪というスタイルでいかにもアイドルしてましたね。
歌はヨカッタのですが、ブリッ子のイメージがハマトラの彼女にはあったのでは。
今頃はカラオケでハマトラの彼女は聖子を歌っているかもしれませんよ。
自分の好きなアイドルにダサ~はやはりショックですよね。
悪気なく人を傷つけるのが女の業かもしれません。
人のフリみて我がフリなおせの心境です。
- | まり | URL | 2008.10.15(Wed) 20:19:24 | [EDIT] | top↑ |

>まり様

「悪気なく人を傷つけるのが女の業」
上手い事言いますね~。
ま、若い頃はこういうチョットした事で落ち込んだりするものです。
今となっては、オヤジはこういう心境に憧れてますね。(笑)
- | 土佐のオヤジ | URL | 2008.10.17(Fri) 07:52:03 | [EDIT] | top↑ |

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