無料ブログ
土佐のオヤジの音楽昔話 ~ あの頃の曲を聴いてみた ~ 阿川泰子の「シニア・ドリーム」を聴くと背筋が寒くなる話。
RSS|archives|admin

阿川泰子の「シニア・ドリーム」を聴くと背筋が寒くなる話。

2009.08.29 Sat
サングロウ

 前回の昔話(←こちらです。)でお話したように、1982年の9月の中旬に僕が参加したバンドは初めてスタジオで正式なデモテープを作成した。その後は都内のあちこちのライブハウスへこのテープを持ち込み、
「すいません、我々こんなバンドなんですけど、ここに出させてもらえませんか?」
 と、地味に出演のお願いをして回っていたのだ。そしてやっと1件のライブハウスに出演出来る事が決まり、バンドは10月終りの本番に向けて、密度の濃い練習を続けていた記憶がある。
 そんな中での僕の生活は、
『大学では授業の合間にバンドの練習、アパートの自室では様々な曲のコピー、空いた日には高校時代の友人達と内装工事の日雇いのアルバイトをやり、そのまま夜は彼等と当時住んでいた下北沢の何処かで酒を飲む。』
 というように、楽しいけれども実に忙しい日々となっていたのだ。
 そして僕にはもう一つ忙しくなる要因が増えていた。女である。
 さて今回、当時の女性関係の記憶をたどると、自分の身勝手さとバカさ加減があまりに酷く、我ながら書くべきかどうか迷ったのだが、僕の頭の中では“ある曲”と当時の女性関係がリンクしており、
「音楽を基に昔話をするなら、やっぱり外す事が出来ない思い出かなぁ?」
 などと考え、思い切って書くことにしたのだ。まぁ、オヤジの自分勝手な話を聞いて欲しい。
 当時の僕は、夏休み前頃からNさんという短大生と付き合っていた。6月の初めにNさんが通う短大との合コンが渋谷であり、それに参加した僕は、たまたま帰る方面が同じだった彼女をもう一軒飲み屋へ誘い、そのまま何となくズルズルと交際が始まったように記憶している。
 一方、時期を同じくして僕にはもう一人の女性が存在していた。彼女はAさんと言い、僕が所属するバンドでシンセサイザーを演奏していた女性の友人で、M音大の4回生だった。バンドのメンバー達との飲み会の席で紹介され、何となく波長が合い、時々2人で会うようになり、こちらも夏休みに入る前頃からズルズルと付き合いが始まったと記憶している。
 僕は9月になって大学の授業が再開した頃には、NさんとAさん両方と上手い事タイミングをずらしながら時々デートをしていた記憶がある。
 年下のNさんとは、渋谷のディスコへ出かけたり、映画を見たりして遊び、年上のAさんには麻布カフェバー六本木のお洒落な飲み屋を教えてもらったりしていた。
 デートが重なってNさんを断る時は、
「バンドの練習があるから。」
 と嘘をつき、Aさんを断る時は、
「徹夜のバイトが入っているから。」
 なんて嘘をついていた事を思い出す。
 考えてみると、この頃の僕はちょっとイイ気になり過ぎていたフシがある。大学に入学し、好きなバンドにも入れてもらい、人間関係が一気に広がり、新しい経験を毎日のようにし、一方で高校時代の友人達とは昔と同じように遊び、その上タイプの違う女の子2人と付き合い・・・。とまあ個人的には世の中バラ色だが、周りから見ると能天気で傲慢さが滲み出るような嫌な男だったと思うのだ。しかし、そんな傲慢男の鼻がへし折られてしまう事がこの後起きたのだ。
 この頃、我々バンドのメンバーは練習の後で「反省会」と称して何処かの店に立ち寄る事が多かった。中でもよく通った店に池袋の「O」という店があった。昼間は喫茶店で夕方からはパブになる店で、店内には観葉植物がたくさんあり、トロピカルなムードが漂う当時としては洒落た店だった。テーブルや椅子が大きくてくつろげる上に、食べ物のメニューも多く値段も安かった事もあり、我々はよく練習帰りに「O」を利用した。その上、この店の最大の魅力はBGMがフュージョン系の音楽ばかりで、フュージョンバンドをやっていた我々としては、コーヒーやカクテルを飲みながら音楽に耳を傾けているだけでも居心地の良い空間だったのだ。
 10月の終りに僕はこの店へNさんを連れて行った。僕が時々この店の事を話題にしていたので、デートの途中で彼女が
「どうしても行ってみたい!」
 と言い出したのだ。
 「O」にはバンド繋がりでAさんも時々出入りしている事を知っていたので、僕はあまり気が進まなかったが、彼女がしつこく言うので、
「んじゃぁ行ってみる?」
 なんて言いながら連れて行ったのだった。
 店に入ったのは、夜の7時頃だったと思うが、外は小雨が降っていた事を覚えている。Nさんと二人でピザをつまみながらビールを飲んでいると、ちょっと前に流行った阿川泰子「サングロウ」というアルバムが流れ始めた。僕は、
「お!阿川泰子だ。このアルバムの中に入ってる『シニア・ドリーム』って曲、来週のライブでやるよ!うちのバンドのボーカル、声が阿川泰子そっくりなんだよ!」
 なんて得意げに話していた。その時、店のドアが開いて、ス~っと入って来た人物を見て僕は完全に氷ついてしまった。そう、Aさんが友人らしき女性と二人で店に入って来たのだ。
 Aさんはすぐに僕に目を止め、一瞬
「あれ!?」
 という顔をしたが、そのまま何事も無いように友人と席に着いた。一方僕は頭が真っ白になり、Nさんに突然、
「店を出よう!」
 と言った。訳が分からないNさんは、
「ええ?何で急に?何?どうしたの?」
 と騒ぎ始め、僕が、
「いいから、とにかくここから出よう!」
 そう言っていると、Aさんが自分の席からスッと立ち上がり、ツカツカと僕のテーブルにやってきて、
「K本君(←オヤジの本名です。)これがあなたの徹夜のバイト?馬鹿にしないでよ!二股かけて・・・。」
 そう言い、Nさんに、
「あなた、騙されてるわよ。」
 と、静かに言ったのだ。
 それからの事はあまりよく覚えていないのだが、店を出た僕は小雨の中を池袋駅まで早足で歩いていた。Nさんが僕の後ろを歩きながら、
「ねぇ、どういう事よ、キチンと説明してよ!」
 そんな事を言っていたのをボンヤリ覚えている。駅の入り口で僕がNさんに、
「そういう事だよ。」
 と言うと、
「そういう事って何?K本君二股かけてたの?ねぇ?」
 とNさんが言い、僕が、
「だから、そういう事だよ。」
 と、言うと同時にNさんに「パン」と一発左頬を叩かれた。
 この瞬間、僕は何もかもがどうでも良くなった。
 そもそも翌週のライブでNさんとAさんが鉢合わせする事態を心配し、
「何とかどちらか一方だけをライブに呼ぶ事が出来ないか・・・?」
 と頭を悩ませていた最中だったので、一瞬のうちに、
「これで良かったんだ・・・。」
 なんて思ってしまったのだ。そしてNさんに、
「もういいよ。止めよう。すまなかった。」
 それだけ言い、彼女が怒って帰ってしまった後、しばらくの間僕は駅前に立ってボンヤリ煙草を吸っていた。
 この時以来、NさんともAさんとも僕は別れた。その後2人からそれぞれ連絡があり、年末頃までは「会う、会わない」でゴチャゴチャしたが、僕は、もうそういう事が全部面倒臭く、結局は2人との関係を全てウヤムヤにしてしまったのだ。
 今思うと、自分の身勝手さに呆れ果ててしまい、
「何であんな事が出来たんだろう・・?」
 なんて思ってしまう。
 それに、よく考えてみると、Nさんは何も知らずに僕と付き合っていたが、多分Aさんは普段の僕の言動から何かしら怪しいモノを感じ取っていたと思われるのだ。いずれにしろ、思い出せば出すほど冷や汗が出てゾッとする思い出なのだ。
 この時の出来事が結構衝撃的だったせいか、僕は今でも阿川泰子「サングロウ」を聴くと背中に冷たいモノが走るような気がする。中でも「シニア・ドリーム」という曲は、偉そうにバンドの自慢をする当時の自分の姿が頭に浮かんで、自己嫌悪でゾッとするのだ。
 ・・・・と、ここまで書いてきて、
「う~む、こんな事書くと人格疑われるかね?」
 なんて、思い始めた。まぁ、何と思われようが事実だからしょうがないのだが・・・。
 その後の僕は、しばらくの間女性と付き合う事が面相臭く、半年以上女性を好きになる事が無かった。必然的に、バンドと酒だけに喜びを見出すつまらない青春を送る若者になったのだ。
 いやはや・・・今回の昔話は何とも情けない話なのだ。皆様、若気の至りで勘弁してくれ!たのむ!

シニア・ドリーム/阿川泰子


 
[Music 阿川泰子]
関連記事


Theme:音楽 | Genre:音楽 |
FC2タグ : 阿川泰子 サングロウ シニア・ドリーム |
Category: 大学1回生の頃 | Comment(6) | Trackback(0) | top↑ |
<<マーカス・ミラーの「M2~パワー・アンド・グレイス」を聴いてみた。 | HOME | モニカ・ボーフォースの「スローフォックス」を聴いてみた。>>

いやはや、なんと申し上げれば良いのか。
若かりし頃、バンドマンはさぞかしお持てになったんでしょうね。
ところで、このブログは、奥様や子供さんのチェックは?
そっちの方が、気になったりします。♪(* ̄∇ ̄)/
.MDwxVW6 | ぷーちゃん | URL | 2009.08.29(Sat) 17:29:38 | [EDIT] | top↑ |

生々しく振り返りました

過去のカミングアウトドキドキして読みました。
私の場合、最近別れたネット恋人はお互い恋人ありを納得して付き合ってました。
でも、無理があったんですよね~
そのネット恋人の付き合っていた異国の恋人が半年彼の近くでバイトしてしょっちゅう会っていたことがわかりもう嫌だと自分の心が叫びだしました。
愛してたんですが、もう一人の自分が無理だと叫んだ以上
自分を誤魔化すことができませんでした。
まだ、ひきづっているんですが自分に嘘をついてまで
付き合うことはできませんね~
オヤジさんのは風化してかえって、いい具合なハート・ペインになっていると思います。
- | まり | URL | 2009.08.29(Sat) 21:02:11 | [EDIT] | top↑ |

>ぷーちゃん様

いえいえ、決してもてた訳ではなくて、
いいかげんだっただけですね。
恥ずかしい事です。
- | 土佐のオヤジ | URL | 2009.08.31(Mon) 12:20:29 | [EDIT] | top↑ |

>まり様

確かに、僕の場合は時間が経ち過ぎて、風化してます。
だって他人事のように文章に書けるもんねぇ・・・。
まりさんの心の傷も、時が解決するのでしょうか?
- | 土佐のオヤジ | URL | 2009.08.31(Mon) 12:23:01 | [EDIT] | top↑ |

なんだか、若い頃のオヤジさんを想像して、あのオヤジさんでもそういう過去があるのか~・・・なんて、しみじみ思いました。
今はとてもお幸せそうで。素敵な奥様に出会えて良かったですね♪

それにしても、うちのひとにも、そういうお話の一つや二つ、あるのでしょうか・・・
大学時代に彼女が居た事は何故だか知っていますが、オヤジさんみたいな事はしてないような(できなかったようなv-8)気がするなぁ。e-446
F9fyWPFY | みか | URL | 2009.09.02(Wed) 00:34:33 | [EDIT] | top↑ |

>みか様

御無沙汰してます。
いやはや・・・恥ずかしい・・・。
まぁ、この当時はイイ気になってたって事でしょう。
なんて、他人事のようですが・・・。
いずれにしろ、今は静かなモノです。
女房一筋・・・・ってか?


- | 土佐のオヤジ | URL | 2009.09.02(Wed) 06:56:38 | [EDIT] | top↑ |

お名前

タイトル

メール

URL



[     ]
Trackback URL
http://tosaoyaji.blog104.fc2.com/tb.php/392-64f35ad6