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土佐のオヤジの音楽昔話 ~ あの頃の曲を聴いてみた ~ カシオペアの「サニーサイド・フィーリン」で思い出すMちゃんのお話。
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カシオペアの「サニーサイド・フィーリン」で思い出すMちゃんのお話。

2009.11.21 Sat
クロスポイント


 前回の昔話は、1982年の10月に初めて出演したライブハウスの事を書いたが(←こちらです。)この時以来、我々のバンドは11月の学園祭、12月のクリスマスパーティー、年が明けて1月には再び別のライブハウスとレパートリーを増やしながら、あちこちで演奏を続けていた。そんなバタバタの中で僕の大学1回生の一年間も終ろうとしていた。
 日々の生活は相変わらず音楽と酒が中心で、バンドと宴会を目的に暮らしているようなモノで、ハッと気が付くと出席日数が足りない授業がチラホラ出てきて、
「う~む、このままでは2回生になれてもキツイ1年間になるぞ・・・やばいなぁ~」
 そんな事が頭をかすめるようになっていた。
 また、4月になるとバンドの4回生であるN本嬢とS浦嬢の音大生2人組が卒業し、3回生のK田さん、S籐さんは就職活動に入る訳で、
「春からのバンド活動をどうするのか?」
 という事も目の前の難題として存在していた。
 1月のライブが終った直後、その辺の事をメンバーで話した結果、ボーカルのS浦嬢とギターのS藤さんがバンドを抜ける事になった。S浦嬢は、
『本格的にプロ歌手を目指したいので。』
 という理由で、S藤さんは、
『就職活動と並行して、ある資格の勉強を進めたい。』
 との事だった。
 一方、キーボードのK田さんは、
「就職活動もやるがバンドも出来る限り続けたい!」
 と話し、シンセサイザーのN本嬢はすでにスタジオでのコーラスの仕事を始めていて、
「卒業後も仕事を続けながらバンドもやりたい」
 との事で、とりあえずは残留という事になったのだ。
 結局、我々のバンドはそれまでの7人編成のバンドから5人編成へとメンバーが減る事となり、N本嬢をシンセサイザーからメインボーカルにチェンジして、フュージョン路線は今まで通りで、ボーカル路線はN本嬢に合わせて大人っぽいバラード系の曲を増やす事に決めたのだった。
 ところがいざ5人で練習を始めると、シンセサイザーとギターが1人減った事で、我々のバンドの音は隙間だらけの迫力に欠ける音になってしまっていた。
 従来通りN本嬢がシンセを担当するフュージョン系の曲はまだマシだったが、N本嬢が歌う「歌モノ」となると悲惨な音で、どう考えてもこのままでは納得出来ない状況であった。
 練習後のミーティングで全員が、
「すぐにシンセサイザーが演奏出来る新人を探そう!」
 と言い始め、すったもんだの末にMちゃんという短大生が新たにシンセサイザー担当として我がバンドに参加する事になった。
 ところが、このMちゃんはバンド内に波紋を巻き起こし、最終的にはメンバー全員から「NO!」を突き付けられてバンドを去って行く事になったのだ。
 相変わらず前置きが長くて申し訳ないが、今日はこのMちゃんのお話しをしたい。聞いて欲しいのだ。
 まず、このMちゃんが我がバンドへやってきた経緯は実に単純で、ギターのI沢さんが連れて来たのだ。
 Mちゃんは、I沢さんがバイトしていた喫茶店に客として時々顔を出していて、都内の某短大に通っていた。まぁ、どこから見ても普通の女の子で、音楽よりもテニスでもしている方が似合いそうな雰囲気だったが、実際は小さい頃からピアノを習い、高校時代はロックバンドでキーボードを弾いていたそうで、I沢さんとは半年ほど前から面識があったようだった。
 2月の終りに、初めてMちゃんを入れてカシオペア「サニーサイド・フィーリン」という曲を練習した。この曲はカシオペアの曲にしては比較的簡単で、ミドルテンポの曲なのでアドリブが弾き易く、ギターのI沢さんとキーボードのK田さんが気に入ったのだった。Mちゃんにはバックのシンセサイザーを弾かせたのだが、事前のI沢さんの細かい指導もあって、全体的に良い出来となり、僕を含め、不安いっぱいで見守っていた他のメンバー達も、
「これなら、少し慣れればうちのバンドでやっていけるわ・・・。」
 そんな事を考えていたのだった。
 しかし翌日、僕はボーカルのN本嬢に江古田駅近くの喫茶店に呼び出された。話の内容はMちゃんの事で、N本嬢曰く、
「気のせいかも知れないけど、私、何となくあの子問題がありそうな気がするのよね~。K本君(←オヤジの本名です。)そんなに感じなかった?」
 そんな話をされて僕は、
「さぁ・・?そんな悪い子には見えないけど・・・。」
 そう言った記憶がある。N本嬢は、
「I沢君は彼女を連れて来たんだから、こんな話をすると気を悪くするだろうけど・・・。まぁ、一応私がこう言ってたって、リーダーのK田さんにK本君から話しといてよ。」
 そんな事を言われたのだ。
 僕はその時は、
「そんな訳無いだろう・・・。」
 と思って全く気にしていなかったが、いやはや、女の勘は当たるのだ。
 次の練習の時に現れたMちゃんは、初めての練習の時とは印象が全く異なり、バンドのメンバー全員に妙に馴れ馴れしかった。そして、
「彼女はいるの?」
 とか、
「いるよ!」
 なんて答えたメンバーには、
「何処で知り合ったの?」
 とか、
「何年ぐらい付き合ってるの?」
 とか実にプライベートな質問を次々にして、皆の住所と電話番号を手帳にメモしていたのだ。
 そもそも僕のいたバンドは、メンバーそれぞれがプライベートな事を話題にする事はあまり無く、メンバーに彼女がいたり、彼氏がいたりする事が何となく分かっても、それをあえて話題にする事はほとんど無かったのだ。
 しかし、Mちゃんの出現でバンドの空気は全然変わってしまい、それが良い方向ならまだしも、何となく鬱陶しく、鼻もちならない雰囲気が漂うようになってしまったのだ。そして、しばらくするとMちゃんからバンド仲間への電話攻勢が始まった。Mちゃんは毎夜バンドの男性メンバーの誰かの家へ電話をかけて、
「今付き合ってる彼がどうした・・・。」
 とか、
「本当は元の彼氏の方が好きだ・・・。」
 とか、人生相談のような悩みを延々と話すようになっていったのだ。
 僕はアパート内に共同の呼び出し電話が1台しか無い環境だったので、すぐに電話を切る事が出来たが、悲惨なのは自宅から通っていたキーボードのK田さんやアパートの部屋に自分専用の電話があったI沢さんで、彼等2人は毎晩のように延々と長い話を聞かされていたようなのだ。それでも人の良い2人は、
「まぁ、あの子も寂しいんだよ。何だかんだとうるさいけど、シンセが下手な訳でもないしねぇ・・・。そのうち飽きるだろうから、まぁいいんじゃない。」
 なんて話していたのだ。
 しかし、春休みも終ろうとする頃には、Mちゃんの電話の内容は人生相談からバンドの事になっていて、皆で決めた選曲や練習の内容についても2人に不平不満を漏らすようになっていった。特にN本嬢の歌に対する不満は大きく、2人がなだめても電話の向こうでMちゃんの感情はエスカレートするばかりだった。そして最終的には
「N本嬢の代わりに自分が歌いたい!」
 という事を言い始めたのだ。
 事、ここに至っては、
「まぁ、いいんじゃない。」
 では済まない。
 だって、N本嬢は自分の歌で仕事をしている半分プロの音大生である。一方のMちゃんは、単なる目立ちたい短大生である。歌を聴くまでも無く、どっちが上手いか明白なのだ。それでも、MちゃんはN本嬢をバンドから追い出し、自分がボーカルの座に坐らんと、I沢さんとK田さんばかりか、僕やドラムのK嶺君にまで夜毎に電話をかけて、自分勝手な話を続けたのだ。
 こんな状態で、上手くバンドが運営出来る訳が無い。練習の時の重苦しい空気の中で、一人Mちゃんだけがはしゃいでいる状態が何度かあり、とうとうその雰囲気に耐えかねたリーダーのK田さんが、練習終了後にMちゃんに、
「バンドを辞めてくれ。うちのバンドのボーカルはN本だ。Mちゃんに変えるつもりはない。」
 そう言ったのだ。
 Mちゃんは、我々に、
「だって、N本さんは半分プロじゃない!プロならもっと上手いバンドで歌えるじゃない!他の皆はプロになる訳じゃないし、私だってプロになる気なんか無いのよ。皆と同じじゃない!何で私が辞めなきゃならないの?」
 そんな事を言っていたが、誰もMちゃんに声をかけるメンバーはいなかった。
 さて、今思い出してみると、この春休みの間にMちゃんのシンセで2~3曲は練習したはずなのだが、僕の頭の中には「サニーサイド・フィーリン」を演奏するMちゃんの姿しか浮かんで来ない。
 個人的には、
「Mちゃんは単にワガママで、寂しがりやで、目立ちたいだけで、そう悪い子ではなかった。」
 と思うのだが、やはりバンドという集団で活動する以上、自分勝手な意見を前面に出すと、和が乱れるという事だったのだ。
 それにしても、N本嬢の「女の勘」には驚かされた。後日N本嬢に、
「N本さんの言う通りだったねぇ~凄い勘してるわ。」
 というと、笑いながら、
「こういうのは男には分からないのよ!」
 と言われた事だった。

サニーサイド・フィーリン : カシオペア


 
[Music カシオペア]

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