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土佐のオヤジの音楽昔話 ~ あの頃の曲を聴いてみた ~ 高橋真梨子の3枚のアルバムで、歌のバックでベースを弾く楽しさに目覚めた話。
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高橋真梨子の3枚のアルバムで、歌のバックでベースを弾く楽しさに目覚めた話。

2010.01.11 Mon
MONOLOGUE LOVENDOW DEAR


 1983年の4月、僕は大学2回生になっていた。一年前に真っ暗な浪人生活から脱出し、
「あ~あ・・俺もなんとか大学生になれたぞ!」
 なんて思ってから、アッという間に一年の月日が経ってしまい、浪人中とは全く異なる時間の流れの早さに正直驚いていた。
 バンドの方は、多少メンバーの出入りはあったものの、ほぼ元の編成に近い形で再び活動を始め、フュージョン系の曲のレパートリーも増えて、よりパワーアップされていた。
 僕自身も1年前から比べると格段にベースが上手くなった実感があり、あちこちで演奏するたびにノリノリで腰を振って調子に乗っていた記憶がある。
 そもそも僕が中学に入学して以来、ギターだ、バンドだ、ロックだ、フュージョンだ、などと叫びながら音楽にのめり込んでいった根幹には、
「楽器を演奏して人前で目立ちたい!」
 という実に分かり易い思いがあった訳で、この思いは、大学生になってギターからベースに持ち替えた後でも、全然変わっていなかった。そんな訳で、入学後、偶然にも自分が入りたかったバンドに誘われた僕は、
「思いっきりベースを弾きまくって、目立ちまくってやろう!」
 などとスラップや、複雑なアドリブの練習に余念が無かった事を覚えている。
 ところが、1年間このバンドで演奏を続けてゆくうちに、この考え方に変化が出て来た。それは僕の所属していたバンドがフュージョン系の音楽と同じぐらい重要視して、女性ボーカルをメインとした曲を演奏していた事によるのだ。
 今回のお話は、この女性ボーカルをフューチャーした曲を練習する中で、過去に学んだ『楽器を演奏する上で最も重要な事』を再認識し、ボーカルのバックでベースを弾く事の面白さを実感した話をしたいと思うのだ。聞いていただきたい。
 この頃、我々のバンドは4月の末に行われる「新入生歓迎コンサート」に向けて日々練習を繰り返していた。
 「新入生歓迎コンサート」とは言っても、特別大きなステージで新入生を集めて演奏するようなモノではなく、土曜の午後にキャンパスの中庭に小さなステージを作り、僕が所属するサークルのバンドが次から次へと出てきて、ロックだフュージョンだニューミュージックだと何の脈絡も無く延々と演奏するコンサートで、
「その辺を歩いている人に足を止めてもらえばそれで良いのだ!」
 といった完全な自己満足のコンサートであった。
 その上、このイベントにはサークル内の全てのバンドが出演する為に、一組の持ち時間が短く、せいぜい4~5曲しか演奏できないデメリットがあったので、当初僕は
「まあ、レパートリーの中でインパクトの強い曲を4~5曲ドカン!とやればいいんじゃないの?」
 くらいに考えていた。
 しかし、数日前の曲を決めるミーティングで、リーダーでキーボードのK田さんが、
「5曲全部新曲にするぞ!で、歌モノばっかり。全部、高橋真梨子で行こうぜ!」
 なんて事を言い始めたのだ。
 まぁ高橋真梨子の曲は、シンセサイザー兼ボーカルのN本さんが以前から歌いたがっていた事もあり、採用するのは何の異存も無かったのだが、全部歌モノというのは僕個人としては何となく欲求不満だった。
 というのも、それまでの僕は、
あくまでもこのバンドはフュージョン中心のバンドであり、歌モノはオマケなのだ!」
 と考えており、
「なんで、せっかく人前で演奏出来るのに、オマケばっかり演奏するのだ?もっとアドリブいっぱいの複雑な曲をぶちかまそうぜ!」
 そんな事を考えたのだ。
 帰りの電車の中でその辺の不満をK田さんに話すと、彼は、
「お前そりゃあ違うよ。あのさぁ、複雑なフュージョン曲はライブハウスに出た時にでも演奏すればイイのよ。だって、その辺歩いてる学生は、俺達がいくら上手いアドリブ弾いてもピンと来てないんだぞ。そんな事より、セミプロのN本嬢がガツンと歌ってみな、音楽に興味が無い奴でも、振り返るぐらいの事はするよ。」
 こう言ったのだ。
 さて、これは実に真実なのだ。
 だって、バンドの中で歌に勝るパートは無い。
 当時N本嬢は音大を卒業後スタジオでコーラスの仕事をしている半分プロの歌手だったので、彼女の歌の上手さは群を抜いていた。
 K田さんの話を聞いて僕は、
「そうか・・・そういう事か。確かに、客に興味を抱かせないと、いくら演奏しても意味が無いじゃないか・・・。よっしゃ、んじゃあ100人ぐらいその辺の通行人を振り向かせちゃる。」
 と、能天気に頭を切り替えたのだった。
 しかし恥ずかしい事に、この時まで僕は高橋真梨子というシンガーをほとんど聴いた事が無かった。
『昔、ペドロ&カプリシャスで歌っていた渋いシンガーだわなぁ。』
 くらいのイメージしか無く、N本嬢にダビングしてもらった3本のカセットテープを聴くまでは、
「N本嬢も、何であんな地味なシンガーの曲を歌いたがるのだろう・・・?」
 なんて不思議に思っていたのだ。
 ところがドッコイ、僕は1回聴いただけで高橋真梨子に心を奪われてしまった。3本のカセットテープとはそれぞれ、1980年に発表されたアルバム「MONOLOGUE」と1981年発表の「LOVENDOW」、1982年発表の「DEAR」の3枚なのだが、曲も詞の内容も全てが実にイイのだ。そして何と言っても、高橋真梨子の曲はN本嬢の声にそっくりで、想像するだけで上手くいきそうな気がしたのだった。
 早速ベース片手に曲のコピーを始めたのだが、コピーが進むうちに、僕は昔聞いたある言葉を思い出した。それは、ぼくが中学、高校を通して世話になったクラシックギター部の顧問の先生の言葉で、
「ギターは歌いながら弾け!」
 という言葉だった。簡単に言うと、
「旋律を頭の中で歌いながら演奏する事によって、自分の持つ歌心をより楽器に反映させる事が出来る。」
 という意味なのだが、高橋真梨子の曲の数々はまさしく『歌いながら、思い入れたっぷりにベースを弾ける曲』のオン・パレードだったのだ。
 そんな訳で、本番当日までに僕は5曲の歌詞を全て覚えてしまい、練習中は頭の中で歌うばかりか、「ワインのようなKISS」なんて曲は、N本嬢のバックで一緒に歌っていた記憶がある。
 こうなると、演奏中に
「目立とう!」
 という考え方から、
「いかに自分が歌心を持って気持ち良く演奏出来るか?」
 という方に意識が傾き、
「その上で、客を振り向かせ、最終的に目立てば良い。」
 という考え方に変わってくるのだ。
 高橋真梨子の曲との出会いは、
「どんな曲を演奏する時でも絶対歌心を忘れてはいけない。」
 という事を再認識させてくれ、
「いかにボーカルの歌心を盛り上げるベースをバックで弾けるのか?」
 それを考えながら演奏する楽しさを僕に教えてくれたのだった。
 この経験がきっかけで、僕は一年後にはフュージョンから離れ、女性のボーカルをメインにしたバンドへ鞍替えする事になる。そういう意味でも、ここに挙げた高橋真梨子の3枚のアルバムは、僕が聴いてきた音楽の中で、とても重要な位置にあると思っているのだ。
 最後にこの時演奏した5曲を紹介しておきたい。全て名曲。歌心溢れる素晴らしい曲なのだ。皆様、機会があれば是非聴いて頂きたい。

STOP MY LOVE / 「Dear」 より
サンバ・マジック / 「Dear」 より
裏窓 / 「MONOLOGUE」 より
ワインのようなKISS / 「LOVENDOW」 より
FOR YOU / 「Dear」 より

ワインのようなKISS / 高橋真梨子


  
[Music 高橋真梨子]
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NO SUBJECT

高橋真梨子の歌はいいですね~
「For You」カラオケで歌ったりしますが
難しい(>_<)

フィージョンから女性ヴォーカルメインのバンドへ転身は大転換したのですね!

土佐のオヤジさんが女性をたてる性格で、頼りになるということもあるんでしょうね(^^♪

- | まり | URL | 2010.01.11(Mon) 20:07:40 | [EDIT] | top↑ |

>まり様

いえいえ、女性をたてる性格なんて・・・。
恥ずかしい限りです。

女性をたてると言うよりも、歌をたてるというか、ちょっと一言では説明できないけど、そんな事にバンドの楽しみを見出してしまったのかな?
いずれにしろ、この一年後には女性ボーカルのバックで演奏してましたね。

- | 土佐のオヤジ | URL | 2010.01.12(Tue) 11:54:00 | [EDIT] | top↑ |

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